家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
レオンの隣には、一人の女性がいたのだ。

それも、親しげに腕を絡ませて。上品なドレスに身を包み、にこやかにレオンに話しかけるその女性は、どう見てもただの知り合いには見えなかった。

「誰……あれ……?」

ルシアの声が震える。私も思わず言葉を失っていた。

会場のあちこちから、ざわざわとした囁き声が耳に届く。

「まさか、あれが……カザリス伯爵の愛人?」

「えっ、でも奥様はルシア嬢でしょ?元公爵令嬢の……」

「奥様と違って、あの人のほうがずっと落ち着いて見えるわね……」

「もしかして……もう見限られてる?」

ルシアの顔からは血の気が引いていた。

まさかの光景に、周囲の空気が一気に変わっていくのを、私は肌で感じていた。

「愛人……あのレオンに……?」

ルシアは呆然としてつぶやいた。

あれほど熱烈だったレオンが、他の女性と腕を組んでいるなんて――信じられないといった表情だ。

ここ数か月の間に、何が二人の間に起きたのだろうか。
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