家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「……ルシア、あのね。」

私が言いかけると、ルシアはすぐに言葉をかぶせた。

「どうせ“幸せならそれでいい”とか言うんでしょ?私だってそう思いたいけど……こんな地味な立場、もう嫌なのよ!」

ルシアは、いまだに“公爵家の令嬢”という肩書きを引きずっていた。

私は、ふとレオンの穏やかな笑顔を思い出しながら、何を言うべきか迷っていた。


ふと奥のほうに視線を向けると、見覚えのある姿が目に入った。

「あら、いるじゃない。レオン。」

私はルシアにささやきながら、そっと彼の居場所を指差した。「えっ?来ないって言ってたのに……」

戸惑いながらもルシアは、レオンの方へと足を踏み出した。

しかし、その瞬間――

「……えっ?」

ルシアが固まった。私も思わず目を凝らす。
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