家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「クラリス嬢は、落ち着いておられますね。年齢よりもずっと、大人びた印象を受けます。」

「そう見えるのなら、伯爵がそう感じさせてくださっているのでしょう。」

自然と返した自分に驚いた。声も、震えていなかった。

セドリックの目元が僅かに和らぐ。

「さすがは、公爵令嬢といったところでしょうか。今日お会いしたばかりですが、安心感があります。」

「恐縮です。けれど、私はとても不器用なんです。特に……人付き合いが。」

言葉を濁すと、彼はすっとワインを置いた。

「気になっているのは、そばかすのことですか?」

私は息を呑んだ。その単語を彼の口から聞くとは思っていなかった。

だが彼は、からかう様子もなく、ただ穏やかに私を見つめていた。

「ええ、まあ……ずっと、それで……」
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