家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
晩餐の席は、格式ばらずとも上品な雰囲気で整えられていた。

重厚な長テーブルの両端に父とセドリック・グレイバーン伯爵が座り、母と私はそれぞれの隣に位置した。

メイドたちが静かに料理を運び、銀のカトラリーが控えめな音を立てる。

「エルバリー家のお食事は、想像以上に洗練されていますね。」

セドリック伯爵は軽やかにワインを傾けながら言った。

「それは光栄ですわ。」

母が笑みを浮かべて応じる。

私はといえば、姿勢を正し、食器を扱う手元に意識を集中させていた。

何を話していいのか分からない。

ただ、醜態だけはさらすまいと、公爵令嬢としての矜持を忘れないよう努めていた。

するとふいに、セドリックがこちらに視線を向けた。
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