家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
そして最後に、にこやかに笑うルシアが姿を現した。
私の妹――誰よりも美しく、誰よりも自信に満ちた瞳を持つ少女。

「お姉様。ようやく結婚ね。」

「ありがとう。」

「これからは夫人として生きるのね。」

「そうね。」

「“伯爵”夫人としてね。」

その言葉には、かすかに含みがあった。まるで、私を見下しているような――そんな気がした。

「私はまあ、公爵夫人になるとは思うけれど。」

「そうかもね。」私は微笑んで応じたつもりだった。

でも、胸が少しだけざわついた。

ルシアは一歩近づき、囁くように言った。

「夜会で見かけても、話しかけないでね。」

「えっ?」思わず聞き返すと、彼女はくすりと笑った。

まるで、これが姉妹の最後の挨拶だとでも言うように。

私は何も返せず、ただ唇を噛みしめるしかなかった。
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