家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「だって、妹の私が公爵夫人なのに、姉は伯爵夫人だなんて。どう考えても釣り合わないでしょ。」

ルシアは涼しげな笑みを浮かべながら、まるで事実を告げるだけのような口ぶりでそう言った。

胸の奥に小さな棘が刺さる。私は感情を抑えて言葉を返す。

「伯爵家だって、立派な貴族よ。」

「最近成り上がったばかりだけどね。」

ルシアのその一言に、私は思わず拳を握り締めた。

確かに、グレイバーン伯爵家は父の代に爵位を得た家。

由緒ある家系とは言えない。

でも、だからといって蔑まれる謂れはない。

「そんなこと、関係ないわ。」

「ふうん? でも世間は、そう思ってくれるかしら?」

ルシアは意地悪く目を細めて、最後に一礼した。

「それじゃ、お幸せに。お姉様。」

その言葉だけは、少しだけ本心が混じっていたように思えた。

でも私は――口を閉じたまま、背筋だけは伸ばして見送った。
< 39 / 300 >

この作品をシェア

pagetop