家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
馬車の中、外の風景は次第に見慣れたものから見知らぬものへと変わっていった。

私はふと、自分の未来に思いを馳せる。

――グレイバーン伯爵の家は、どんな方なんだろう。

セドリック様のことは、政略結婚という枠の中でしか知らない。

そしてそのご家族――とくに伯爵ご夫妻が、どのような人柄なのか、私にはまったく想像もつかない。

「もし、公爵家の娘が鼻につくと言われたら……」

そんな不安が、胸の奥にじんわりと広がっていく。

私はエルバリー家の娘として、それなりの礼儀も誇りも身につけてきたつもりだけれど、それが逆に高慢に見えてしまうこともあるかもしれない。

「お母様……つまり、セドリック様のお母様と上手くやっていけるかしら……」

夫となる人の母親――それは、貴族の世界ではとても重要な存在だ。

私は上手くやれるだろうか。

笑顔を絶やさず、良い嫁として振る舞えるのだろうか。

馬車の揺れに合わせて、胸の中の不安も静かに揺れていた。








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