家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
続いて、堂々とした風格のある男性が私の前に歩み出てきた。グレイバーン伯爵――セドリック様の父上だった。

「ようこそ。公爵令嬢クラリス殿。」

低く響くその声は厳格さを感じさせるものだったが、そこに込められた言葉は温かかった。

「息子にこのような由緒正しき令嬢を迎えられるとは、願ってもいないことだよ。」

私は思わず小さく微笑んで頭を下げた。

「そう仰っていただけて、嬉しいです。」

伯爵の眼差しには、品格と誠意が滲んでいて、私を心から歓迎してくれていることが伝わってきた。

――本当に、この家の方々は私を受け入れてくださっているのだ。

政略結婚という形ではあったけれど、少なくとも表面上の冷たい扱いを受けることはなさそうだった。

これなら、きっとやっていける。少しずつでも、ここで自分の居場所を見つけられるかもしれない。

私は胸の奥で、そっとそう思った。
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