家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「それとも、新婚だから同じ部屋の方がいいわよね。」

その言葉に、私は思わず息を飲んだ。新婚――つまり、同じベッドで眠るということ。

意識していなかった現実が、胸に押し寄せてくる。

私の表情が固まったのを察してか、お母様は微笑んだまま、そっと部屋を後にした。

私はその場に立ち尽くし、ベッドを見つめた。

これが、現実なのだと改めて思い知らされた。


翌朝、鏡の前で私はそっと息を吐いた。

自ら刺繍を施したウェディングドレスを身にまとい、緊張と少しの誇らしさが胸を満たしていた。

白地に金糸の繊細な模様は、自分の手で丁寧に縫ったもの。

サイズもぴったりで、ようやく現実になった自分の花嫁姿に、自然と微笑みが浮かぶ。

そのとき、扉がノックされ、セドリックが結婚式の礼装で現れた。
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