家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
落ち着いた色のドレスに身を包み、どこか控えめながらも気品を漂わせたその令嬢は、明らかに私たちの同級生ではない。

「セドリック……あの方は?」

そう尋ねると、セドリックは一瞬だけ目を細めたあと、椅子から立ち上がった。

「僕の幼馴染みだ。」

その一言に、胸の奥に小さな波が立つ。

「そう……あなたのために、来てくれたのね。」

言葉にしてみると、自分でも少し意地の悪い響きに聞こえた。

だが、セドリックは何も言わず、そのまま彼女のもとへと歩いていった。

そして彼女の前に立ち、丁寧に頭を下げてこう言った。

「来てくれてありがとう。」

その姿は、まるで特別な何かを抱えているように見えて、私は手にしたグラスを少しだけ強く握った。
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