家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
その言葉は、私の心を鋭く刺した。

――どうして?

彼女と結婚するはずだったのに、なぜ私との政略結婚を選んだの?

私には、そばかすしかない。

政略といえど、彼には既に心を交わしていた相手がいたのに。

セドリックは、彼女の想いをどう受け止め、どうして私の元に来たのか――

その理由を、私はまだ知らない。

けれど、彼女の悲しげな眼差しは、すべてを物語っていた。

「私には、彼の出世を手助けする地位も名誉もなかったの。」

彼女は苦しそうに微笑みながら、そう呟いた。

――それはつまり、セドリックにとって、私との結婚は“貴族としての未来”を確かなものにするため。

「……私も、貴族に生まれたかったわ。」






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