家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
晩餐会が終わり、夜は静かに更けていった。

私は夜着に着替え、重たい気持ちを抱えたまま、セドリックの部屋の扉をそっと開けた。

そこは既に明かりが灯され、彼は本を閉じてこちらを見た。

何も言葉を交わさず、私はベッドの端に静かに腰を下ろす。

「彼女……あなたの婚約者だったのね。」

少し迷いながらも問いかけると、セドリックの表情が一瞬だけ固まった。

「キャリーが……そう言ったのか。」

彼は私を見ることなく、どこか遠くを見るように目を細めた。

昔の恋を暴かれたような、そんな戸惑いがそのまま表情に滲んでいた。

そして、淡々とした声で言った。

「彼女と結婚するつもりだった。キャリーを……愛していた。」

その言葉は鋭く、私の胸の奥に突き刺さる。

――やはりそうなのね。
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