家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
セドリックは、私に興味があって結婚したのではなかった。

私はただ、地位と名誉のための“交換条件”だったのだ。

平然と告げられるその事実に、私の心は冷たい水をかけられたようだった。

「だが君を見た時、心が変わってしまった。」

セドリックのその言葉に、私は思わず顔を上げた。

「……私を見た?」

「夜会で、君が他の男性に興味なさそうに振る舞っていた時のことだ。」

――あの、退屈で仕方なかった夜会。

私が壁際で静かにグラスを傾けていた、あの時間に彼もいたのだ。

「君は私と結婚すべきだと思った。」

そう言って、彼は私の隣に腰を下ろした。

「その瞬間、キャリーへの愛も……静かに冷めていった。」

驚きと困惑が入り混じる中、セドリックの目は真っ直ぐだった。
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