家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
そしてある日、父に呼ばれた。

執務室の扉をくぐると、父は既に机に書類を広げていた。

「これが最後の相手だ。」

父は冷たい口調で言いながら、一枚の書状を私に差し出した。

――セドリック・グレイバーン伯爵。

一瞬、意味がわからなかった。

「……えっ?伯爵家……ですか?」

思わず声が震える。私はその名に聞き覚えがなかった。

「なにかの……間違いでは?」

父の機嫌を損ねると分かっていても、言わずにはいられなかった。

エルバリー家は、長い歴史を誇る由緒正しき公爵家。

たとえ今、財政が傾いているとはいえ、格下の伯爵家と親戚になるなんて――

「グレイバーン家は新興貴族だ。金はあるが、名はない。公爵家との縁談は、向こうにとって願ってもない話だろうな。」

父は書状を指で叩きながら言った。

私は目の前がぐらぐらと揺れるような気がした。

なぜ、私がそんな……名も由緒もない家の人と――
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