家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
「私は……伯爵と結婚するんですか?」

声が震えた。

自分でも驚くほど、心の奥がざわついていた。

「他に相手がいないのだから、仕方ないだろう。」

父は一切の感情を見せずに言い放つ。

「……それでも支度金が入るんだ。」

一瞬、意味が飲み込めなかった。

「……支度金?」

「そうだ。相手はこのエルバリー家に金を入れてくれる。それだけで万々歳だ。」

私は言葉を失った。

つまり、私は金と引き換えに――売られるのだ。

「お金のために、私を……」

「家のためだ。」

父は淡々と続ける。

「貴族の娘が家を支えるのは当然だろう。ましてや、おまえにはもう選り好みなどできん。」

そんな……私はただ、愛されることを望んだだけなのに。

そばかすがあるから?

誰にも選ばれないから?

だから私は、見も知らぬ成り上がりの伯爵に売られるの?
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