家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
背後から優しい声がかけられ、私はびくりと肩を跳ねさせた。

振り返ると、そこには優雅な笑みを浮かべるお母様が立っていた。

――まずい。見られてしまった。

「あなたも本が好きなの?」

「ええ、実は……」

正直にそう答えると、お母様はますます優しい顔をして言った。

「そう。普段は何を読むの?」

その物腰に、私は一瞬、自分の母と話しているのではないかと錯覚した。

本当に、あたたかく、包み込んでくれるような優しさだった。

「物語を読んでいます。」

私がそう言うと、お母様はふんわりと笑って頷いた。

「そう。ここにも、そういう本があるのよ。」

そう言って書棚の中から一冊を取り出した。革の装丁に銀の縁取りがされた、美しい本だった。





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