家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました
喉の奥がつまったように、言葉が出てこない。
ただ、指先だけがかすかに震えていた。
それでも父は、まるで家具でも売るように話を続ける。
「安心しろ。伯爵は若く、悪い噂もない。顔も悪くないそうだ。」
そんな問題じゃない。
私は今、この瞬間、父に見捨てられたのだと悟った――
もしそうであれば、私は問いたかった。
せめて、相手がどんな人なのかを知りたかった。
私という存在をどう見ているのかを――。
「伯爵は、私のことを……どう思っているのですか?」
父は面倒そうに眉をひそめた。
「特には、何も。」
「……特には?」
「そばかすのことも含めて、何も言っていない。」
私は思わず息を飲んだ。
それはつまり――
「興味がないということですか?」
「だから、何も言っていないと言っただろう。」
父の声は冷ややかだった。
そばかすが気にならないという意味ではなく、
私という存在自体に、興味を持たれていない。
言葉にされないその無関心こそが、何より残酷だった。