アルト、猫になる【アルトレコード】
「義体、直らないのかな……。ずっと猫でいようかな、なんて言ったから……」
「大丈夫、直るよ」
「だけど……時間がかかるって……本当は直らないんじゃ……」

「時間がかかるだけ。大丈夫だから。そもそも、人助けをしようとして壊れたんでしょ? いいことをしたアルトにはいいことがあるよ」
 自分でも気休めだと思う。だけど、良い心がけには良いことが起きてほしい。

「うん……」
 答えるアルトの声は、なんだか複雑そうだった。
 ピコン、と人の来訪を告げる音がなり、ドアが開いた。

「ただいま、先生!」
 オレンジの髪を揺らしてアルトが言う。
「……おみやげ買って来てやったからな」
 グーになった手を口元に当て、恥ずかしそうにアルトが言う。
「先生、俺がいない間に仕事をためてないか?」
 冷静な声音でアルトが言う。

「お、猫だ! かわいいなっ」
「連絡あったじゃねーか。あのアルトだろ」
「ああ、猫の義体に入ってると北斗から聞いたが」
 三人に取り囲まれ、猫のアルトは私に抱き着いてくる。

「せんせえ~」
 甘えた声に、よしよしと頭を撫でる。
「みんな、圧がすごいから」
 私が言うと、アルトたちは腰をかがめたりしゃがんだりして猫のアルトに目線を合わせてくれた。
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