突然、課長と秘密の関係になりました
「料理のバリエーションを増やそうかと思いまして。
 とりあえず料理本の1ページ目から全部作ってみようかと思って」
と一彩は後ろのテーブルに広げている大判の本を見る。

「自分が作るときは、自分の嫌いなもの作らなくてもいいだろう。
 融通のきかないやつか」

「でも、誰かが好きかもしれませんし。
 嫌いなものでも、自分で作ったら好きになるかもしれないじゃないですか」

「……苦手な男でも付き合ってみたら好きになるかもしれない、みたいな感じか?」

「それはどうでしょうねー」

 皮のところもスパッと切れるな~、と思いながら、鶏肉を切る。

 それ以降、彰宏からの小言はなかった。
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