突然、課長と秘密の関係になりました
 鴻上家には、父親や弟たちが連れてくる俳優などが時折現れるので、それが誰なのか知っていたら、教えてやれる、と思って気になっていた。

 ――ということにしておこう。

 ラーメン屋だから回転は速いが、まだ列は長い。

 寒さのあまり沈黙している浩司が言い出しっぺだった。

「おい、もう諦めて、よそに行こう」
と一彩の前にいる浩司に言うと、

「課長、ここまで並んだのに、もったいないですよ」
とさっきから黙っていた一彩が口を開く。

 口を開くと、ひゅっと冷たい風が胃まで入ってくる感じがするので、みんな黙っているのだろう。

「……寒さで吐きそう」
 遠い目をして、一彩は言った。

「お前が一番大丈夫じゃないじゃないか」
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