扇情的ナミダ

告白と腹黒


樋野 暁(ひの あかつき)。

幼い時から、外見に寄ってくる女にはウンザリしていた。
それは高校生になった今でも同じ。

特別な努力なしで成績上位に加え、運動神経も悪くない。
それが俺だ。

人当たりよく無難に過ごして来たけれど、誰かに惹かれる事なんてなかった。
一目惚れだったのか何て聞かれても、答えは分からない。

ただ、俺が固執するには十分な心の衝撃。


「好きです。付き合って頂けませんか。」

地味なタイプだけど、顔は普通。
化粧でもすれば、どれだけでも化けるだろうけど。

緊張から震え、か細くて身構えているのか、より小さく見える。
怯えた小動物。

俺の無言に、圧力を感じたのか顔が真っ赤に染まっていく。
そして、目には涙が……


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