扇情的ナミダ
「キスがダメでもいいよ、それ以上のことをして泣かせるから。」
彼女の唇に自分の親指を当て、その上に軽い口づけ。
留惟の目は見開いたまま、俺と目を合わせて放心状態。
そう、こんな表情がもっと見たいんだ。
自分の口元が緩んで、笑顔を向けたつもり。
彼女は頬を染めて、少しの抵抗。
手首を掴んでベッドに押さえ付ける。
力の加減を間違えたのか、留惟の赤くなった顔が青白くなっていく。
違う。見たいものじゃない。
自分の心も痛みが生じるから、これは駄目だ。
「留惟、お願いだから逃げないで。」
俺は彼女の手を離し、様子を見る。
すると視線を合わせ、戸惑う様に口を開いた。
「樋野くん、あなたが理解できない。私の気持ちは変わらないのに。」