扇情的ナミダ

彼女は俺の何に呆れたのか、表情が固まり一瞬の間。
そして視線を逸らし、ため息。

何だろう、この新鮮な反応。
俺の好奇心を刺激する。

「……あなたが、OKしてくれるなんて思わなかった。告げるだけで、満足したかったのかもしれない。ごめんなさい。」

言い終えると、また俺に視線を真っ直ぐ向ける。
刺さるような胸の痛み。

この気持ちは何だろうか。
彼女のセリフに、心が痛むなんて。まるで……

「ふふ。満足しちゃったの?残念だね、俺は足りないんだ。埋まらない。満たされない。もっと頂戴。……絶対に、逃がさないからね。」

留惟の腹部に腕を回し、抱えるようにして立ち上がる。

「え?ちょ、離して!怖い!」

抵抗する姿も見逃したくない。


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