嫁いだ以上妻の役目は果たしますが、愛さなくて結構です!~なのに鉄壁外科医は溺愛を容赦しない~
    ◇

 書斎にて、論文の執筆に勤しむ紘生は、ノートパソコンの横に置いたスマホが着信を告げて震えているのに気づき、手を止めた。
 通話ボタンをタップして、スピーカーにする。

『お疲れ~。新婚生活はどう?』

 明るい声の主は、高校時代からの友人、代永拓海だ。

「特に問題はない」
『どうだか。紘生のことだから、仕事ばっかりで寂しい思いさせてるんじゃないの?』
「させてない。順調だ」

 仕事ばかりなのは間違いないが、美七に寂しそうにしている素振りは見られないので言い切ると、電話越しに拓海がため息をついた。

『あ、そう。じゃあラブラブデートとかして毎日ハッピーなわけね』
「していないが」
『うん、わかって聞いた。紘生さぁ、自分都合で新婚旅行も行かないんだし、デートくらい行きなよ。じゃないと、あっという間に愛想尽かされて、離婚まっしぐらなんじゃない?』

 離婚というキーワードに、美七が『無理だと感じたら離婚させてください』と言っていたのを思い出す。
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