嫁いだ以上妻の役目は果たしますが、愛さなくて結構です!~なのに鉄壁外科医は溺愛を容赦しない~
 紘生は本当に恋愛に興味がないのだろうか。
 その割には、女心をくすぐるのが上手な気がする。

 どこか余裕があるように見えるのも、やはり恋愛に興味がないからか。

(というより、私を恋愛対象として見ていないからね)

 前よりいい。楽しい。
 それらの言葉は、美七という人間への評価。

(褒められてはいるけど悔しい)

 まるで、女として魅力を感じていないと言われているようだ。

 意気消沈していると、紘生がふいに切り出す。

「ひとつ、提案があるんだが」
「なんですか?」
「デートをしないか」
「……え?」

 まさか紘生からデートに誘われるとは思わず、美七はぽかんと口を開けた。

「本気、ですか?」
「本気だ。君とデートがしたい」

 胸の奥で心臓が跳ねた。

 男性からこんなストレートに誘われたのは初めてで、美七は思わず頬を赤らめる。

 すると、紘生の目が楽しげに細められた。

「顔、真っ赤だぞ」
「……からかって楽しんでます?」

 美七は熱を持った頬を両手で覆い、紘生を軽く睨み上げる。

「別にからかってるつもりはないが……」

 紘生は興味深そうに美七を見つめながら、ふっと口元を緩めた。
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