嫁いだ以上妻の役目は果たしますが、愛さなくて結構です!~なのに鉄壁外科医は溺愛を容赦しない~
「それで、返事は?」
「えっと……」

 胸の高鳴りがまだ残る中、頭をもたげた疑念に言葉を濁す。

「どうして急にデートなんですか?」

 恋愛に興味がないはずの彼がなぜ。
 何か裏があるんじゃ──そんな疑いが自然と浮かんで警戒する。

 だが、紘生の回答は至極単純なものだった。

「今の君は俺をよく知らないだろう? デートもしたことがない。だからだ」

 なるほど、と美七は得心した。

 確かに彼の言う通りだ。
 美七は紘生のことをよく知っているとは言いがたい。

 結納のあとに何度か顔を合わせたが、それは結婚式の準備のためで、いわゆるデートとは違った。

 離婚して自由になり、自分らしい人生を謳歌したい美七としては、紘生を深く知る必要はない。
 けれど、同じ屋根の下で暮らすなら、相手のことを理解していた方がうまくいく。

「わかりました。しましょう、デート」
「ありがとう。では、次の週末に。行きたいところがあればピックアップしておいてくれ」
「だったら、ひとつずつ候補を出し合いましょう。そうすれば、紘生さんの好みも知れるでしょう?」
「なるほど。俺も君の好みを知れるわけか。わかった。考えておこう」

 話がまとまったところで、美七はすっくと立ち上がった。

「私はそろそろ寝ますね」
「ああ、思いがけず長居して悪かった。おやすみ」

 腰を上げた紘生におやすみなさいと返して、扉が閉まると美七は大きく息を吐いた。

(あんなにドキドキするなんて)

 前世では、陰で女をつくっていたオーフェンに恋するわけもなく、結果、本当の恋というものを知らずに生涯を終えている。
 そのせいで、今も耐性がないのだ。

 今生では、素敵な人と巡り合えるだろうか。
 できることなら恋も仕事も──。

(あ、仕事どうしよう)

 紘生の動画を観たところから紘生本人ご登場で、仕事探しをしていたのをすっかり忘れていた。

(とりあえず、デートの候補先と並行してもう少し探してみようかな)

 ひとり頷いた美七は、再びスマホを手にしてベッドに寝転んだ。





※試し読みはここまでとなります!
デートを経て変わっていくふたりの関係は、ぜひ書籍版の方でお楽しみいただければ幸いです!

2025.6.18 和泉あや
< 35 / 35 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:20

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
彼氏に騙され、貯金を全て失い 揚げ句の果てにうっかり死亡してしまった 料理好きOL莉亜(26) しかし神さまのくれたチャンスにより 憧れの乙女ゲーム世界に 主人公として生まれ変わる……はずが! 悪役令嬢【アーシェリアス】に転生! ●・○・●・○・●・○・●・○・●・○・ デリカシー出張中の剣士【ザック】 魔物の心が読める毒舌【ノア】 マンゴー中毒騎士【エヴァン】 日本の調味料を召喚する もふもふ妖精【シーゾー】 ●・○・●・○・●・○・●・○・●・○・ 「触れれば触れるほど、手離せなくなる」 ザックとの恋の行方は? 破滅エンドは回避できるのか…!? おいしいご飯を作りつつ 彼らと共に幻の料理を求める旅はフィナーレへ! ପ(○・ω・)ଓ  Are You Ready? ପ(・ω・○)ଓ ------------------ thanks review ------------------ tomomocakeさん
月夜見の女王と白銀の騎士

総文字数/102,239

ファンタジー165ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽ 君がどこへ行こうとも たとえそこが地獄でも 俺は君を愛し 守り抜くことを誓おう ✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽ 2020.3.27 START 2020.7.22 END 🌙attention🌙 こちらは書籍化しました「一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない(原題: 月夜見の王女と偽りの騎士)」の続編です。 書籍版より話を引き継いでおりますので、糖度も高めとなっております。 前作を読んでくださいました皆様に、感謝の気持ちをこめて!
俺様御曹司はウブな花嫁を逃がさない
  • 書籍化作品
[原題]おしかけスイートウェディング

総文字数/63,269

恋愛(オフィスラブ)109ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*: あの日出会ったのは偶然で 恋に落ちたのは── :.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*:.:*: START♡2019.10.13 END♡2019.10.22 表紙:湯弐様

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop