推しにガチ恋ってアリですか⁉︎



「眺めているだけで幸せ、」



そりゃ推されている人には分からないですよね……。



「あのっ、高峰くん、安心してください!」


私は俯いている彼に声をかけた。


これはなんとしてでも誤解してほしくない……!



「推しは、好きとは全然違うんです。
私は絶っっっ対に高峰くんの彼女にはなりません!」

「……は、」



固まってしまっている高峰くん。
まぁ、驚くのも分かる。


でも推しはいわゆるガチ恋の対象とは別だから。


「推しが幸せなのが一番嬉しいんです。
だから高峰くんは素敵な彼女さんを作ってください!」



フワリ、と笑いかけた。


「なんだよそれ……」


高峰くんが何かを言いかけた時、私のスマホが震えた。


開くと、お母さんからのたくさんのメッセージとものすごい量の着信履歴。


時計を見ると、8時になろうとしていた。



「わぁぁっ、もうこんな時間⁉︎ 長居してすみません、この服は洗って明日お返ししますね!助けていただいてありがとうございましたっ」

「え……あ、待っ──」


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