推しにガチ恋ってアリですか⁉︎
「高峰くんは最初から、好きなんかじゃないよ」
──は?
「だから安心して!二人でお幸せに」
目の前が一瞬で真っ暗になった。
それはまるで、世界が音を立てて崩れ落ちていくかのように。
気づけばとっくに授業が始まる鐘が鳴り、二人の気配も消えていた。
お幸せに、って。
瑠亜は天梨と俺が結ばれることを願っているのか。
なら今までのあれはなんだったんだよ。
あの恥じらいも、眼も、弾けるような笑顔も。
さっき見せた涙は?苦しげな顔は?
俺はこれからもずっと、忌々しい『推し』という存在から抜けられないのか?
ああ、どうすればよかったんだよ。
分からない。分からないんだよ。
「──瑠亜っ、」
お願いだから、もう一度だけ見せてよ。
あの咲き誇るような笑顔を。
そう、俺は叶わない願いを呟いた。
琳斗 side end