放課後、先生との秘密

34話 修学旅行1日目


1時間車に揺られ気づいたら空港に着いていた


葵「パパまたね!!!」

パパ「気おつけてな!楽しんでくるんだよ〜」

ヒラ「送ってくれてありがと!!」

ナチ「帰りも迎えに来てね??忘れたら許さないよ?」

パパ「んふふ任せなさい!」

こーすけ「行ってきます!」


こーすけとあたしはパパに手を振って、空港の駐車場を出てクラスの子達が居る場に向かった。


空港にはもうみんないてザワザワしてて落ち着かない

先に空港についていたナナとアリサと合流した


担任「おはよう!!まだ来てないやついるか?先生に報告してくれー!!1時間後には出発予定だからその間自由に過ごしてもいいけどちゃんと戻ってくるようにな!!以上」


担任の声が響き終わると同時に、みんな一斉に解散して、空港のあちこちに散っていった。
朝の空港は旅行客で賑やかで、なんだか普段の学校とはまったく違う空気が流れてる。



ナチ「うわーなんかみんな、いつもと違って変な感じ」

ナチがきょろきょろしながら言った



確かに
制服じゃないから、雰囲気が全然違って見える。
普段は地味に見える子が意外とオシャレだったり、逆に派手な子がラフすぎたり。



ナナ「ね、ねぇ待ってフジくんの私服バカかっこいいんだけど!!なにあれ!?ロックバンドって感じやばいって!!」

アリサ 「ナナそれもう限界オタクだよ」

ナチ 「お前もう告れよ」

ヒラ 「なんでまだ付き合ってないのか不思議」

フジ「あ!ナナちゃんおはよ!楽しみだねぇ」

ナナ 「えっ!?!う、うん!!」

葵 「はぁまたナナが女出してるよ」

ナナ 「あぁ?葵うるさい」

フジ 「んふふそういう素のナナちゃんが1番可愛いよ」

ナナ「えっっそ、そうかな?//」



ナナが顔真っ赤にして照れてる
お似合いすぎるだろこいつら
早く付き合えお願いだから



アリサ「あたしのナナが取られる⋯!!」

葵 「いやあたしのだから」

ナチ 「いやうちナナ取らないでもらえるかな?」

ナナ 「誰のものでもねぇわ」



こういう、たわいもない話はあと何年、何ヶ月できるんだろうか⋯
ずっとこうして4人でいたい
そんな願いは叶うんだろうか⋯⋯


こーすけ「フジ!あっちにマックあるから食いに行こうぜ!ヒラも!!」

ヒラ「うん!行く!!」

ナナ 「あ、あたしも行きたい⋯かな?⋯⋯みんなどう?ですか?」

ナチ 「行ってこいよ」

葵「朝からマックはちょっとしんどいっすよ」

アリサ 「フジとイチャイチャしとけ」

ナナ「う、うるさいなぁ!!」

アリサ「はいはい〜照れてるの可愛い〜」



ナナが顔をそらすと、フジは楽しそうにナナを見て笑ってた。
ほんと、この二人見てると上がった口角が下がらない




気がつくと、お腹がすき過ぎてるのか、3人はもう走ってマックの方に行っていた


葵「あ、置いてかれてんぞナナ」

ナナ 「え〜!普通に食べたかったのに」

ナチ 「いやフジ目当てだろ絶対」

アリサ 「1人でいけよ」

ナナ 「気まずいでしょ男3人の中にあたしがいたら」



と、その時だった


「葵ー!」


聞き馴染みのある鼻声に振り向くと、目をニコニコさせながら玲斗くんが近づいてきた。
……うわ出た。なんでこういうときに限って来るの。


レト「よっ、楽しみやなぁ!」

葵「う、うん……」


軽く笑って返したつもりだったのに、ナチとアリサがすかさずこっちをじーっと見る。


ナチ「……おぉ、これはもしや」

アリサ「匂うな〜修学旅行フラグ!」

ナナ 「香坂から告られんじゃねぇ?」


3人が笑い出して悪ノリが始まった
ナチはあたしの役をして
アリサは玲斗くんの役をして、
告られた時の即興寸劇をやり始めた


お前ら、本人が目の前で見てんだよやめろ



レト「あいつら変なやつやなぁ」

葵 「1年の頃から変わんないっしょ」


そう、最近気づいたんだけど、あたしら4人と玲斗くんは1、2年生の頃同じクラスだった

なのにずっと喋ったことなくて、今年に入るまで存在すら知らなかった。そんな関係なのになぜあたしは玲斗くんに狙われてるんだろうか




レト「あ、あのさ」

葵 「うん?」

レト「あの、山登りでさ⋯⋯伝えたいことある」

葵 「伝えたいこと?」


山登りで伝えたいこと?あたしがコケるから?ストレッチとか?サッカー部だし体のこと詳しそう

いや、良い奴すぎるだろ


葵 「捻挫しないように教えてくれるってこと!??教えて欲しいそれは最近よく転けるから」

レト 「えっ?あっ⋯⋯うんそうそう!!教えるわ」

葵 「えぇありがとう!!すげぇ!!」


あたしが目をキラキラさせて本気で感心してると、玲斗くんは口を開いたり閉じたりして、なにか言いたそうにしてる。


レト「……いや、その、ほんまは……」

葵「ほんまは?」


問い返したのに、玲斗くんはすぐに目を逸らして、頭をかいた。


レト「……いや、なんでもない忘れて!!」


そう言って、元にいた場所に戻ってしまった


なんだったんだ今の⋯⋯いや、まて。待て待て告白されるんじゃないか?いやそんなわけないか⋯


ナチ 「はぁ⋯⋯あんたってほんと鈍感だな」

ナナ 「あれはな、告白するから覚悟しとけってことを言いに来たんだよ」

アリサ 「まだ葵が純粋で良かったよ」



こ、こ、告白!?先生にもまだ付き合ってなんて言われてないのに?!
嫌だ嫌だ嫌だ


葵 「嫌だまじで⋯回避したい」

ナチ 「そりゃあ好きな人いますもんねぇんふふ」

アリサ 「へぇ〜誰だっけ〜?」

ナチ 「最近オシャレになった人だっけ〜?」

3人ががニヤニヤしながらわざとらしく言った



葵 「うるさい!!」

ナナ 「あーあたしも青春したいなぁ」

ナチ アリサ 葵 「お前が1番してんだよ」


まさか3人でハモると思わなくて皆でお腹を抱えて笑った


ナナは顔を真っ赤にして「なんでみんなで揃って言うの!」ってムキになってるし、ナチとアリサは手を叩いて爆笑してる。


そうしてるとこーすけ達が帰ってきた


「もうすぐ時間だよ」


時計を見ると、もう出発の時間が近づいてる。
慌てて荷物を持ち上げ、わちゃわちゃしながら搭乗口に向かった

担任「おーい全員揃ってるかー?チケットちゃんと持ってるな?じゃあ北海道いくぞー!」

全員「いえーい!!」


なんだかんだ先生が一番楽しんでそう
その声が空港の広い空間に響いて、なんだか一気に修学旅行が始まった実感が湧いてきた。


葵「じゃあねこーすけ!」

こーすけ 「おう!なんかあったら連絡して」


こーすけはあたしの頭を撫でて、フジとクラスの元へ行った


アリサ 「じゃあうちらもいくか」

ナナ 「そうだなホテルで集合な!!」

葵 「おう!」

ナチ 「じゃあな!」



飛行機に乗り込むと、クラスごとにざわざわしてて、みんなテンションが高い。
座席はナチ あたし ヒラの順

いやなんでヒラが隣にいんだよ友達と座れよ



ナチ「やっばい飛行機緊張してきた」

葵「えそんなんあたしもだよお!!」

ヒラ「死なないから大丈夫だよんふふ」

葵 「そういう問題じゃねぇよ」

ナチ 「てかヒラほんと葵のこと好きだね」

葵 「フルコンとかピーピーと座らなかったん?」

ヒラ 「葵になんかあったら助けないとじゃん?」

葵 「なんもねぇよ」

ヒラ 「んふふどうかな」


すると飛行機が動き出して、ガタガタと滑走路を走る。
ナチは手すりをガッチリ握ってて、目をまんまるにしてる。


ナチ「うわぁぁ動いた動いた!!」

葵「大袈裟すぎでしょ」

ヒラ「あははナチっぐふふふ」



ナチは少しパニック状態で
ヒラはそのナチをみてツボに入ってる


一気に加速して、体がぐっとシートに押し付けられた。
思わずあたしも手すりを握る。



葵「あ、やっばい無理かもっ」

ナチ 「あたしもやばいよ!!ねぇ!!」


そうするとヒラがあたしに耳打ちしてきた


ヒラ「葵俺の手握って」


一瞬躊躇ったけど怖くて握らない以外の選択肢は取れなかった

ヒラの差し出す手をぎゅっと握ると、指の温度が伝わってきて少し安心した。
けどすぐに、横で半泣きみたいな顔してるナチが私を見てきて——


ナチ「ねぇなんで葵だけ?あたしも!!!」

ナチも私の手を掴んでくる。
左右どっちも塞がれて、まるでジェットコースターに乗ってるみたいな状態で余計怖くなる


葵「ちょっ……あたし両手ふさがってんだけど!」

ナチ「だって怖いんだもん!!」

ヒラ「ほら俺が隣に居て助かったでしょ?」

葵 「う、うざい!」



自然とヒラが隣にいたら落ち着くのはいつもの事で、そんな感情が許せない
だけどギュッと"大丈夫だよ"と言うかのように握り締めてくれるこの手が心地いい



窓の外に広がる青空
怖いはずなのに——ナチとヒラのぬくもりで、安心している自分がいた


ナチ 「外見るの怖いから寝るわおやすみ」

葵 「映画とか見ねぇの?もったいな」

ナチ 「それどころじゃないんだわ」

葵「怖がりすぎだろ」

ヒラ「葵一緒に映画みよっか」

葵 「ホラー映画はやめてな」

ナチ 「は??それは無いだろあたしも見るし!」


ナチが膨れっ面でシートに深く座り直して、モニターを操作し始める。
でも指先が震えてて、まだちょっと怖がってるのがバレバレだ。


ヒラ「えぇ〜?ナチ寝るんじゃなかったの?」

ナチ「見るもん!!2人してあたしをハミゴにすんな」

葵「寝るって言ったのお前だよ」


小声で言い合ってると、前の席から「シーッ!」って先生の注意が飛んできた。
慌てて三人で顔を見合わせた瞬間——耐えきれずに吹き出す。


ヒラ 「ナチ声でかいよ」

ナチ 「うちじゃないでしょ!」

葵 「いやナチが寝てたら怒られてない」

ナチ 「もぉ!!!」



ナチは頬をふくらませて、窓の方を向いた。
でも耳まで赤くなってるのが丸見えで、余計に可笑しくてまた笑いがこみ上げる。


ヒラが小声で「ナチ拗ねた〜」と茶化すと、ナチはすぐに振り返って


ナチ 「拗ねてねぇし!」


声がまたちょっと大きくて、前の席の友達がちらっとこっちを見る。
葵とヒラは慌てて前を向いたけど、ナチだけはふてくされてシートに深く座り込んだ。



ヒラ 「なんかいいの無いしハリーポッターでも見る?」


葵 「おお!いいじゃん」


ヒラがモニターを操作してる間にナチを見ると
朝早かったからなのか寝息を立てて寝ていた



葵 「ナチ寝ちゃったよ」

ヒラ 「んふふ疲れてたんだよ絶対」


小声で笑い合いながら、二人は映画を流し始める。この手はまだ繋いだままで…


画面の光に照らされたナチの横顔は、夢の中でいいことでもあったのか、少し口元が緩んでいた。



葵 「あと何時間で着くの?」

ヒラ 「2時間くらいかな?」

葵 「長っ」

ヒラ 「眠い?」

葵 「ちょっと」

ヒラ「寝ていいよ?映画始まったばっかだけど」

葵 「だから嫌」

ヒラ「ふっどうせ寝落ちして寄りかかってくるでしょ」


図星を突かれて思わず黙る。

否定しようとしたのに、眠気に勝てず、数分後には――ほんとに肩に寄りかかってしまった。


ナチ 「……ねぇ……あ…い…ねぇってば…葵!!」


ナチに思いっきり揺さぶられて目が覚めた


葵 「んんっ、な、なに?ふぁぁ」

ヒラ 「マジで起きてそろそろやばいって」

ナチ 「あくびしてる場合じゃないから!!!もううちらだけだよ!!早く起きなさい!」

葵 「は?やっばっ!!」


急いで飛行機から降りてキャリーケースを取りに行くと担任が怒っていた


担任 「平川は置いといてお前ら2人は本当手がかかるやつだな……早くしろみんな待ってんだよ」


じゃあこの時間無駄じゃね?そんな言葉は口に出さずぐっと飲み込む


ナチ 「ごめんごめんこいつが全部悪い」


ナチがあたしの頭を持って謝らされた


担任 「次こんなことあったら置いていくからな」


三人で「はーい……」って肩を落として返事するしかなかった。



担任 「はい!みんな集まったかな??今から札幌市内に向かうからさっきの3人みたいに遅れず着いてくるように!!」


周りのクラスメイトがクスクス笑ってて、ムカついた。

こーすけはその合図が聞こえて手叩いてフジとこっち見て笑ってるしうざい




札幌市内に着くと、担任から指示が通った

担任 「今から一応時計台、赤レンガ倉庫、札幌テレビ塔とか行くからはぐれないようにな絶対だそ!!着いたら自由でいいから各自昼食取れよ。帰る時はclassroomで連絡するから逐一見とくようにな〜解散!」



ナチと一緒に街を歩きながら、色々なお店や景色を楽しんだ。時計台で写真を撮ったり資料を読んだり、テレビ塔ではカフェに行ったり。
今は赤レンガ倉庫で散歩中

けど何故か視界の端にはずっとヒラ達がいてちょっと鬱陶しいまである。


ナチ 「ぴーぴー顔疲れすぎでしょ」

葵 「なんかずっとヒラに連れ回されてるもん」

ナチ 「可哀想んふふ」

葵 「なぁ!お腹空いた」

ナチ「おーけい!ラーメンいこ」


札幌で有名なラーメン屋さんに入った


葵 「うわぁぁ匂いからしてこれはやばい!余計にお腹空いたぁ」

ナチ 「最高だなナナとかとみんなで回りたかったよなぁ」

葵 「それなぁ?次会えんのホテルだっけ?」

ナチ 「そうそう抜け出してイツメンで花火しようぜ!」

葵 「えぇめっちゃいいじゃんそれやば」

ナチ 「みんなにLINE入れとくな」

葵 「あざーす」



ラーメンが運ばれてきて、湯気と一緒に広がる濃厚な香り。
思わず、あたしとナチは顔を見合わせて同時に声を上げた。


葵 ナチ「いただきまーす!!」


ずずっと麺をすすると、コクのあるスープが口いっぱいに広がって、思わず目を閉じた。


葵「うっま……やば……」

ナチ「北海道来てよかったぁ……」


テーブルの上には餃子やチャーハンもあって、結局頼みすぎた感じになってる。
でも二人で「やばい無理!」って言いながら、笑い合いながら食べ続けた。

お腹がいっぱいになって店を出ると、札幌の空気はひんやりしてて気持ちよかった。


二人でふらふら歩きながら、お土産屋さんをのぞいたり、道に迷ったり。
赤レンガ倉庫の前でソフトクリームを食べたりして、時間はあっという間に過ぎていった。
ここに先生がいたらもっと楽しかったんだろな…


するとclassroomから連絡が来て
そろそろ担任のいる場所に戻れとのこと



気づけば夕方で、空が少しオレンジ色になっていた。

葵「やば、もう時間か」

ナチ「はぐれずに戻れたの奇跡じゃね?」

二人で笑いながら集合場所へ向かった。



観光バスにぞろぞろと戻っていく。
担任が一人ひとり数を数えて確認してから、やっとドアが閉まった。


バスの中は一日の疲れで、さっきまでのテンションが嘘みたいに静か。
それでも窓の外にすすきのの夜景が流れていって、誰もが少しだけ名残惜しそうに見ていた。


ナチ 「なぁまた今度旅行とかでさ、みんなでまた来ない?北海道」

葵 「それいいね」


ずっとナチ達と居たい
こうやってバカやって思い出作ってひたすら笑っていたい。その未来に先生もいて欲しいって何度も思う。


先生は叶うはず…ないんだろうな…



ナチ 「何考え事?顔暗いって」

葵 「いや、この先も皆と一緒に居たいなって」

ナチ 「なに?可愛いこと言うじゃん」

葵 「卒業しても離れたくないんだよ…誰とも」

ナチ 「実はさ…いつか葵には言おうと思ってたんだけど」

葵 「な、なに?」


思わず息を飲んでしまう
嫌な予感がしてならない
今から何言われんのあたし…

ナチ 「あんたキヨが行ってた大学行くんでしょ?」

葵 「え、うんなんで知ってんの?まだ言ってなかったのに」


ナチ 「ヒラに潜入捜査させた」

葵 「は?」

ナチ 「でさ、うちとアリサ、ナナ、こーすけ、フジ、ヒラでその大学受ける」

葵 「えっ?」


思わず言葉を失ってしまう
だってそれをずっと望んでたから
皆であの大学に行きたかった。
必死に夏休み勉強して、恋愛して
なんか報われた気がした


ナチ 「それを提案した時さ皆同意してくれて、ほんとあんたの周りは良い奴ばっかだよ」

葵 「う、嘘っそれまじの話??」


徐々に目に涙が溜まる感覚がする


ヒラ 「なんの話してんの?なんで葵泣きそうな顔してんの?大丈夫?」


ヒラが後ろから話しかけてきた



ナチ 「みんなで同じ大学受けるって話よ」

葵 「それまじの話?」

ヒラ 「あぁほんとだよ高校卒業してもまだまだ一緒」


葵 「……っ、ほんとに……?」

ナチ 「そうだってば。うちらがバラバラになる未来とか、想像つかないしね」
ナチ 「全員揃ったら最強でしょ?高校と変わんない未来、悪くなくね?」


葵 「……う、うん……っ」


声が震えるのを抑えきれなくて、思わず顔を伏せた。


ヒラ 「泣くなよ、まだ受験すらしてないのに」

葵 「泣いてない!……でも、なんか、めっちゃ嬉しくて……」

ナチ 「可愛いなぁ〜まぁみんな行くとこ無かったてのもあるけどな」

葵 「えそれ聞きたくなかったんだけど!!」

ヒラ 「ナチのせいで雰囲気ぶち壊しだよ」

葵 「いやほんとに」

ナチ 「またうちのせいかよ」


そのまま三人で窓の外を見ながら、笑い合い、冗談を言い合う。
未来のことはまだ分からない——でも、今こうして皆と一緒にいる時間が、一番大切だと感じていた。


PP 「ほんとそこ仲良いね〜幼馴染っていいなぁ」


珍しくぴーぴーがあたしら話しかけてきた


葵 「あ、ぴーぴじゃん」

ナチ 「あんたマジで疲れてる顔してんよ」

P-P 「ちょっとはしゃぎすぎたかもあははは」


そうしているとバスはホテルに着いた
結構でかくて綺麗なホテルだ
ぞろぞろとみんなが降りていく


ヒラ「そういえばあとで花火だっけ?」

ナチ 「お前バレずに抜け出してこいよいいな?わかったか?」

葵 「先生にバレたら死ぬと思え」

ヒラ 「こわぁぁバレたら停学じゃない?」

ナチ 「もう花火買ったしやるしかねぇんだよ」

ヒラ 「わかったよぉ」


ヒラはあたしにふわっと笑ってそのまま友達の方へ歩いていく。


ナチ 「よし、うちらも部屋行こか」

葵 「あー、ほんと疲れた…」

ナチとあたしは、クラスの女の子二人と合流して
ホテルのロビーを抜けてエレベーターに乗り、キャリーケースを押しながら自分たちの部屋へ。



葵 「ふぅ……やっと部屋だめっちゃ綺麗〜」

ナチ 「荷物置いたらちょっと落ち着くな」

モブの子1 「お腹すいたぁ!」

モブの子2 「シャワー浴びたいね!」

葵 「うん、全部終わらして夜ご飯行こうよ!何時でも食べに行っていいんだっけ?」

ナチ 「そうらしいな、ちょっとだけ休憩させてくれぇ」


部屋に入ると、荷物を置き、ベッドに腰かけて一息つく。
窓の外には夕暮れに染まる札幌の街並みが広がり、疲れが少し和らぐ。


葵 「よし、準備オッケー?夜ご飯行こっか」

ナチ 「うちは行ける」

モブ1 モブ2「行けるよ!」

ナチ 「あ、葵この後班長会議あるからさそれ終わるまでに、みんな集めといてくんね?絶対にバレないようにな」

葵 「もちろん!!ふふ、楽しみすぎる」


ホテルのバイキングに向かった
海鮮丼とかジンギスカンとか沢山あって
おなかいっぱいになるまで食べ尽くした

ナチ 「葵頼んだよ」

葵 「任せろ」

モブ1 「なんかあったら誤魔化すから楽しんでおいで!」

ナチ 「マジで助かるわありがと」

モブ2 「消灯時間には帰ってきてね」


私はグループLINEに「招集!!誰にも見られずに外に出ろ!」と連絡を入れ外に出た




そうしてるを目の前をこーすけが通った


こーすけ 「おおっ!葵〜」

葵 「また太った?食べすぎじゃね?」


こーすけ 「そりゃ北海道来てんだから食うだろ」

葵 「いつもいっぱい食べてるけどな」

フジ 「まじで花火すんの?」

葵 「おう」

こーすけ 「お前いつナナに告んの?」

フジ 「ぶはぁぁ!?えっ!??!な、なに?」


フジが口に含んでいた水を吐き出した


葵 「うわぁ汚ったねぇぇ動揺しすぎでしょ」

フジ 「いや、ごめん今なんて?」

葵 「いつナナに告る?って言ってんのまず好きなの?」

フジ 「えぇっと……めっちゃ好きです//」



フジの顔が一気に赤くなった
お願いほんとに早く付き合って欲しい


葵 「いやぁぁぁなにこの青春やばぁ!」

こーすけ 「告るとしたら今日の花火じゃね?」

フジ 「いやぁ向こうが好きかなんて、わかんないじゃん?」

葵 「は?あの様子見てまだ好きじゃないと思ってんの?鈍感過ぎねぇか?」


フジ 「葵には言われたくないかも」

こーすけ 「どうすんだよ」

フジ 「文化祭の時に言おうと思ってたのよ」

こーすけ 「うわぁそれ生で見てぇ」

葵 「公開告白ですか?」

フジ 「そんな目立つことしたくないです」

ナナ 「あ!いたいた!」

アリサ 「お前ら食べんの早くねぇ?」

葵 「あぁ!噂をすれば〜?」


そう言ってフジを見ると髪を整えだした
それをナナが見てかっこいいって心の声が漏れ出た


葵 「あとはヒラだけか」

ナナ 「あ、さっきなんか女の子に話しかけられててたけど」

アリサ 「あれ絶対告られてるよ」

葵 「へ〜あいつ以外とモテるんだ」



そうしてるとヒラが急いで走ってきた
あたしが買ってあげたニットの帽子を被って


ヒラ「ごめん!!遅れちゃった!!」

葵 「お前、告られてたん?」

アリサ 「もっとオブラートに包めよ」

ヒラ 「めっちゃ可愛い子にねぇ〜」

葵 「あっそ」


何この気持ち…めっちゃムカつく
好きじゃないのに誰にも取られたくないし
ずっと隣にいて欲しいと思ってしまう
情ってやつ?


こーすけ 「じゃあ行くか」

ナナ 「近くの公園だっけ?」

葵 「そうなんか花火できるぽい」



みんなでこそこそとホテルを抜け出し、夜道を歩く。
静かな北海道の街は涼しくて、少しの足音でも響きそうで心臓がドキドキする。

すると後ろから、

ナチ 「ごめーん!長引いた!!ちょっと待って!」

と全力疾走でナチが追いかけてきた。

葵 「ちょ!!!声がでかい!」


ナチ 「あ、まずいかなやばいかなぁ!!」


結局みんなで笑いながら、公園へ到着した。


広場の真ん中に円になって座り、それぞれ花火を手に取る。

順番は――フジ、ナナ、こーすけ、ナチ、アリサ、ヒラ、そしてあたし。

こーすけ 「マジで声出すなよ?先生来たら一発アウトだからな」

全員 「はーい」


ナチ 「ちなみにこれさ打ち上げ花火あんだけどさ」

こーすけ 「あぁもう停学確定じゃん」

ナチ 「だよねやりたかったなぁ」

フジ 「帰ったら皆でまた集まってやろうよ」

ナチ 「いやマジでやろうな?これ約束な?」


そうして花火に火がつくと、オレンジの光がパッと広がった。
ナチが動画を撮って思い出に残していく
みんな小さな声で「すげぇ」「綺麗だな」とか言ってる


隣のフジとナナは、花火を手にしながら顔を近づけてひそひそ話してて、皆で茶化しあった

こんなにお似合いで両思いで幸せそうでいいなぁ
2人には早く付き合って幸せになって欲しい


花火も終盤を迎え線香花火を皆で持って誰が長く火がついてるかゲームをする


あたしは線香花火を見つめながら、ぽーっと火の玉が落ちていくのを追っていた。
すると、ヒラが話しかけてきた




ヒラ 「葵……俺、さっきの子の告白OKして付き合ったから」


葵 「は?」



その瞬間。
線香花火が地面に落ちて消えた。


い、今なんて?付き合ったって言った?
あたしの心臓が一瞬止まったみたいに、言葉が出なくなった。
心の拠り所を取られてしまった感覚。


胸の奥に広がるのは、どうしようもない焦りと空虚感。
花火が消えた暗闇のせいで、余計にヒラの言葉だけが頭に響く。
さっきまで楽しかったのに、急に景色が色あせて見えた。



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