溺愛する身代わり姫を帝国王子は、逃さない。
第5話
「離宮での噂とかで、僕のことわからなかったのかい? 女の子って、噂話とかって好物だってきくけど?」
レイカルド様は、呆れた声音で問う。
「そんなひまありませんって。離宮ではやるべきことが多すぎますから」
「あ、そう」
「と、ともかく、私は無理ですって!」
自分の出自をきいても、一切動じることないレイカルド様に、困惑する私は、思わず声を荒げてしまう。
「どうして?」
「祖国でも、ここの離宮であっても、粗暴で姫君としてなってないと、よく言われてきましたから」
「確かに、本当に気丈で、じゃじゃ馬だよね、ルアンって」
私は、今の状況からどうにか逃れようと、切実に懇願する。
だがレイカルドは、それを面白げに応じるだけだった。
身じろいでみても、彼女をはなそうとはしない。
「も、もうわかったでしょう? はなしてくださいって!」
「何がわかったって?」
「レイカルド様!」
からかうように底意地の悪い笑みを浮かべてそう言うレイカルドに、私は思わず睨みつけた。
「ルアンって、気が強いよねえ。一応僕は、デスリスク帝国の王子なのに、ルアンは怖くないわけ?」
「こ、怖い? 確かに多少はあります。それでも、納得いかないことは、私自身嫌だから、仕方ないことでしょう?」
そう言った私は、むうっと頬を膨らませた。
「仕方ないねえ。本当にルアンって、面白いよね」
「面白がられても困ります!」
「どう言われても、わかって貰うよ? 僕自身としては、ぜひともルアンが欲しいってことはね」
「どうして私なのですか? 貧国の姫君なのに」
「それは別に関係ない」
「関係あります!」
「ないよ。ルアンって、どうあれ王家の血筋だろう? そうやって自分を卑下するのって、よくないと思うけど?」
少し呆れた顔を浮かべ、レイカルド様は私を嗜めた。
「それはありますけど。それでも姫としても、不充分なはずですよ?」
「そんなこと……」
「そうですって。だって、わずかな期間しか、姫としての教育を受けてないわけですから」
どうにか言い募り、レイカルド様から逃れようとする私だが、確かにそれは本当のことだと思った。
村娘だった自分。
いきなり姫君としての、その立場。
育った村や大切な母を救うために説得され、どうしようもなくその身を捧げてきた。
この状況は、あんまりだと感じている。
それに、自分は幼い。
たとえ前世で関わり合った仲だとしても。
相変わらず帝国の王子という巨大な地位があり、大人っぽいレイカルド様の相手には、私がとてもなれないことくらいわかっている。
それでも今も昔もわけのわからない胸奥疼くことは、私自身感じてはいた。
「離宮での噂とかで、僕のことわからなかったのかい? 女の子って、噂話とかって好物だってきくけど?」
レイカルド様は、呆れた声音で問う。
「そんなひまありませんって。離宮ではやるべきことが多すぎますから」
「あ、そう」
「と、ともかく、私は無理ですって!」
自分の出自をきいても、一切動じることないレイカルド様に、困惑する私は、思わず声を荒げてしまう。
「どうして?」
「祖国でも、ここの離宮であっても、粗暴で姫君としてなってないと、よく言われてきましたから」
「確かに、本当に気丈で、じゃじゃ馬だよね、ルアンって」
私は、今の状況からどうにか逃れようと、切実に懇願する。
だがレイカルドは、それを面白げに応じるだけだった。
身じろいでみても、彼女をはなそうとはしない。
「も、もうわかったでしょう? はなしてくださいって!」
「何がわかったって?」
「レイカルド様!」
からかうように底意地の悪い笑みを浮かべてそう言うレイカルドに、私は思わず睨みつけた。
「ルアンって、気が強いよねえ。一応僕は、デスリスク帝国の王子なのに、ルアンは怖くないわけ?」
「こ、怖い? 確かに多少はあります。それでも、納得いかないことは、私自身嫌だから、仕方ないことでしょう?」
そう言った私は、むうっと頬を膨らませた。
「仕方ないねえ。本当にルアンって、面白いよね」
「面白がられても困ります!」
「どう言われても、わかって貰うよ? 僕自身としては、ぜひともルアンが欲しいってことはね」
「どうして私なのですか? 貧国の姫君なのに」
「それは別に関係ない」
「関係あります!」
「ないよ。ルアンって、どうあれ王家の血筋だろう? そうやって自分を卑下するのって、よくないと思うけど?」
少し呆れた顔を浮かべ、レイカルド様は私を嗜めた。
「それはありますけど。それでも姫としても、不充分なはずですよ?」
「そんなこと……」
「そうですって。だって、わずかな期間しか、姫としての教育を受けてないわけですから」
どうにか言い募り、レイカルド様から逃れようとする私だが、確かにそれは本当のことだと思った。
村娘だった自分。
いきなり姫君としての、その立場。
育った村や大切な母を救うために説得され、どうしようもなくその身を捧げてきた。
この状況は、あんまりだと感じている。
それに、自分は幼い。
たとえ前世で関わり合った仲だとしても。
相変わらず帝国の王子という巨大な地位があり、大人っぽいレイカルド様の相手には、私がとてもなれないことくらいわかっている。
それでも今も昔もわけのわからない胸奥疼くことは、私自身感じてはいた。