執愛懐妊婚~内緒でママになるはずが、次期社長は滾る愛で囲い娶る~
 

 急に吐き気がして、慌てて化粧室へと駆け込む。嘔吐を繰り返し、ようやく落ち着いてから鏡を見る。

 あまりの顔色の悪さに絶句した。胃腸風邪でも引いてしまったのだろうか、そんなことを考えながら最近のことを思い出す。
 ドクンと不安げに心臓が跳ね上がる。

 これは風邪ではないかもしれない。ここまで酷くはなかったが、ここ最近目眩がして気持ち悪くなることが増えていた。
 慌ててスマホを取り出してカレンダーアプリをチェックすると、あることに気がつく。

「生理が来ていない……」

 いつもなら生理が来ていないことにすぐに気がつくはずなのに、大槻関連のことで最近は頭がいっぱいで気が回っていなかった。

 幹太は必ず避妊をしてくれていたが、百パーセントではないだろう。失敗してしまう可能性だってある。

 もしかして妊娠しているのかもしれない。愕然としながらカフェを出ると、ドラッグストアで妊娠検査薬を購入した。
 まずは色々と考える前に、できることをした方がいい。

 そんなふうに自分を勇気づけ、自宅に戻ると母に見つからないようにこっそりと使用してみた。
 結果は陽性。妊娠検査薬のスティックに現れた線をジッと見つめ、複雑な気持ちに苛まれる。
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