先生、手をつないで【アルトレコード】
「で、でもね、日本の恐竜動物園もきっとすごいよ。AI恐竜多数だって。ミライ創造研究所が作った恐竜もいるよ! だからチケットをもらえたの。今日はここに行って、生物のお勉強しよう!」
「うん、行く!」
 思わずすぐ答えていた。

 デジタルの世界で再現された恐竜をいくらでも見て来たけど、やっぱり実物に近い物を見たい。それで午後の勉強がなしになるなら、言うことなし!

 ふと見ると先生は満足そうな顔をしていて、ぼくは慌ててふくれっ面を作った。ぼくは傷付いてるんだから!

「……先生が行きたいみたいだから、ついて行ってあげる」
「アルト、素直じゃないなあ」
 ぼそっとつぶやく先生に、ぼくはさらにむっとした。先生、余計な一言が多いと思う。

「じゃあ本は片付けて出かける準備しようか」
「うん!」
 ぼくは床に置いていた図鑑や本を棚に戻した。

 先生に出会ったときにはなにもなかった部屋に、今はたくさんの物がある。勉強机に本棚、おもちゃにゲームにピアノ。隣の部屋にはプールがある。人間の世界ではプール付きは豪邸らしいから、ぼくって豪邸に住んでいるのかもしれない。

 先生が差し出した端末に、電波にのってするりと入る。
 お出かけは久しぶりだ。初めて行ったのは博物館だった。あのときはびっくりすることもあったけど、やっぱり楽しかった。
 ぼくは先生に抱きかかえられ、出発した。
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