組長様は孤独なお姫様を寵愛したい。
辺りが暗くなり始めた頃、


「着いたぞ。荷物もって降りろ。」



大きなお屋敷の前で車が止まった。

恐らくこれが私がこれから住むことになる所だろう。


荷物を手に取ると車から降りて男の人…羽山さんに着いていく。


羽山さんはやはりこの大きなお屋敷の中へと足を踏み入れた。


そこから更にどんどん進むと1つの部屋の前で止まった。




「…ここにこの橘組の組長が居る。」



え、ここに…?



「中に入ったら挨拶をしろ。機嫌を損ねさせるようなことは絶対にするなよ。」



突然のことだったが私に拒否権はない。



「はい。」



私が返事するのを聞くと羽山さんは


「頭、例の姫木の娘連れてきました。」



そう言って障子の襖を横に引いた。




顕になった部屋の中には




「お前が両親に売られたカワイソーな娘?」



思わず息を飲むほど、圧倒的な威圧感に、漆黒とも言えるほどの髪の毛に、この世に存在するとは思えないほど綺麗な顔立ちの男の人が居た。

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