組長様は孤独なお姫様を寵愛したい。
全く感情のこもってない声と表情に背筋に緊張が走る。


誰かにこんなに圧倒されて言葉が出なくなるのは初めてだ。


そんなことを考えていたら、急に頭と呼ばれた男の人の顔がいつの間にか私の目の前まで来ていた。


…っ、びっくりした。


なんて思ったのも束の間で、男の人の手がこちらに伸びてきて、私の頭がガシッとつかまれた。



「っ…。」


「ね、返事は？」



まるで人に乱暴することに躊躇が無いようなその雰囲気に冷や汗が流れるのが分かった。

それと同時に部屋に入る前に羽山さんに言われたことを思い出した。


「…はい。姫木、茉白です。よろしくお願いします。」



必死に絞り出した私の声を聞くと男の人は私の頭からサッと手を離した。



「…3億だよ。」


「え？」


「お前を買った金額。」




突然出されたその数字に一瞬困惑する。

3億…？でもそれにしては今日渡していたお金の量が少なかった気がする。



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