組長様は孤独なお姫様を寵愛したい。
「お前の両親ね、俺のとこに1億4000万借金してたんだよ。それで娘を売るのはどうですかって提案してきた。」



…そっか、今日の分は借金返済で消えなかった残りのお金だったんだ。



「聞いたら娘が2人居るって言っててさ、2人とも売る気?て聞いたらお前の親はなんて言ったと思う?」



そんなの決まってる。



「姉の方_______茉白を売りますって。妹はどうかやめて下さいって。」



……ほら。

別に何も驚かないし、もうこれ以上私の心が傷つくことは無い。



あの人たちはそういう人たちだから。そんなこと嫌という程分かってる。




「…へぇ、これ聞いて何も思わないんだ?」


「思わない…です。もう、分かってるので。」




私がそう言うと男の人は心底面白そうに、楽しそうに笑った。



「お前、お利口だね。物分りが良くて。」



そう言いながら私の頭を無造作に撫でてくる手つきは、さっき掴まれた時とは全く違う。


だけどやっぱりそこには怖さが纏ってる。




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