組長様は孤独なお姫様を寵愛したい。
すると横から手が伸びてきて、私の頭を優しい手つきで撫られた。


「…え?」


「これからはお前にとってこれが "普通" になるんだよ。」


ずっと冷えきった目だったのに、今私を見てそう言う瞳にはきっと勘違いかもしれないけど、

愛に似たような温もりを感じた。



その言葉に思わず涙が出そうになったけど、必死に堪える。



「…ありがとうございます。」



今、私の心の中で

この人がどんなに悪い人でも、怖い人でも、酷い人でも、私をずっと苦しめた両親よりはよっぽど良い人だと思った。




「ふ、俺みたいな悪人にお礼言うなんて面白いねお前。」



そう言いながら見せる笑顔は今まで見てきたどの人よりも綺麗で

これが誰かに見惚れるっていうものなのかなという感覚になった。

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