組長様は孤独なお姫様を寵愛したい。

3

チュンチュンチュン、チュン


「ん…。」



暖かい日差しと小鳥の鳴き声を感じてパッと目を覚ます。

あれ、もう朝か…。


「見慣れない部屋…、」



そっか、私昨日からヤクザのお屋敷に住むことになってたんだ。


寝ぼけていた頭を頑張って働かせて、パッと時計を見ると目が飛び出た。


「え、もう10時…?」



普段はこんなにぐっすり眠れたことはなくて、大体夜中に目を覚ますか、朝早くに目を覚ますことがほとんどだった。


それなのにこんな時間まで寝るなんて…。



と思っていたとき、



「茉白、起きた?」

「きゃあ!!」



急に背後から声が聞こえてきて体がビクッと上に飛び跳ねた。


…っ、、心臓が止まるかと思った。



「…橘、さん?」



気配を消していたのかと思うほど何の音もしなかった。

そこには昨日とは打って変わって、古風に着物を着た橘さんの姿があった。



「…おはようございます、」


「ん。おはよ。すんげーぐっすり寝てたね?」


「あ…、ごめんなさい。」


「なんで謝んの、俺怒ってないからいーよ。」



そう言う橘さんは本当になんとも思って無さそう。

…いけないな、すぐに謝るのが癖になってるんだ。




< 18 / 38 >

この作品をシェア

pagetop