探偵男子たちが強すぎる
◇普通の中学生◆
紫音くんが来てくれたことで、わたしたちの食生活が華やかになった。
本人曰く……『レシピ見たら普通に出来ます』とのことだけど、本当どれも美味しくて。
お菓子を作ってもらった時に、普段大人しめな静空くんのテンションがやや高めに感じたりする。
匿名の依頼の件も知ってるから、紫音くんも次からはナワバリ観光に同行するって言ってくれて、それに静空くんの情報通りなら強いはずから、その姿を見るのもちょっと楽しみだったり。
「──なんやレンちゃん、やけに楽しそうな顔しとるな?」
「え?そうかな」
どうやら楽しみって気持ちが顔に出ていたらしい。ゆるまないようにしないと。
しゃきっとするために両頬を叩けば、
『紫音ですー入っていいですか?』
「紫音くん来た。どうぞ!」
昼休み、わたしたちは編入したての紫音くんを呼び出し、第二生徒会室に全員が揃った。
「……へぇ、ここに集まってるんだ」
「ああ、一度ちゃんと見せておこうって話になって。表向きは生徒会の手伝い、裏方的扱いだけどな」
「表向き、ね。次はいつ行く予定なんですか?観光とやらは」
家でも聞ける話だけど、と紫音くんは静空くんの隣にひとつ増やした椅子を逆向きにして座った。
「どーしようねー毎週はきついし。土日だと大量の生徒は探しづらいから、平日が……そうだ再来週の水曜、テスト終わってるし職員会議があるから早く帰れるけどどうする?」
スマホを見ていた静空くんが顔を上げると、
「じゃその水曜で。いいよな。テスト終わりのうっぷんを晴らす」
「勿論や。紫音もレンちゃんもええな?」
「うん。夜ご飯の準備があるから早く終わらせたい」
すでにやる気満々のメンバー。
「わたしもオッケーだよ」
「じゃ、水曜日に決まりねー」
静空くんのスマホのカレンダーに観光日決定の星マークがついた──