探偵男子たちが強すぎる
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夜、スタミナとコンディションのためにと紫音くんはいつもよりも腕によりをかけて作ったと言っていた。いつも美味しいのに、あれもこれも手が止まらなくなるものばかりで……

「はー美味かった美味かった。紫音に料理だけは敵わんわ」
「だけ?勉強もの間違いでしょ」
「あん?」

珍しく皿洗いの手伝いをしている夏音くん。だけどキッチンは騒がしい。
静空くんもまた、珍しく食べたら部屋におこもりしに行ったから座ってるのはわたしと壱弥くんだけ。

「蓮佳」
「ん?」

向かい側にいた壱弥くんはわたしの隣へ座り直した。

「静曰く、相手は荒っぽいし数も多いらしいけど、俺らの死角の敵感知の前に自分を大事にしろよ。まぁ俺らは護衛もあるから蓮佳に怪我とかさせるつもりはないけどさ」
「壱弥くん……ありがと」

普段クールなのにこうして優しい言葉をかけてくれるのは嬉しい。顔、そらされちゃったけど。

「ウチら護衛のわりに、レンちゃんを伸び伸び乱闘させてるのは、強いっちゅうことだけやない。信じてるからやで」
「……夏音くん」

後ろから肩に手を置いた夏音くんがにこりとしてわたしの顔を覗く。

「信じてるっていうのは、僕も先輩たちも皆同じ気持ちだと思うよ。だから最後まで頑張ろうね」
「うん、そうだね」

わたしも皆のこと信じてる。
このメンバーならやりきれると──
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