Love Potion
 結婚する前はあんなに優しかった孝介。
 結婚してから数カ月で変わってしまった。
 というか、もともとこんな性格だったのかもしれない。
 思い通りにいかないと怒りっぽいし、自分が一番みたいなところがあることを結婚後に知った。

「わかりました。気を付けて。行ってらっしゃい。お義父さんやお義母さんにもよろしくお伝えください」

 私の声かけには全く反応なし。無言でドアを締められた。
 いつまで続くんだろう、この生活。
 
 孝介が出かけた後、洗濯をして、掃除をする。
 孝介が帰ってくる時は、家政婦さんを雇っている。
「私がやるよ?専業主婦だし」
 結婚当初、そう彼に伝えても
「いいよ。ずっとお世話になっている家政婦さんだから。美月がこの家に馴染めるまで、彼女にやってもらう」
 言い切られてしまった。

 孝介がいない時は家政婦さんも来ないから、家事全般は自分でやるしかない。やるしかない、というか、家事ができて嬉しい。 
 本当は料理を作るのが好きだし、洗濯や掃除も小さい頃から手伝っていたせいか、苦だと感じたことはない。

 洗濯をしようと、昨日孝介が着ていたワイシャツを手にする。
 あれっ?なにこのキツイ匂い。香水の匂いがする。
 はぁと溜め息をつき、私はスーツのポケットに手を入れた。

「やっぱり……」
 思わず口に出してしまったのは、キャバクラの名刺が出てきたからだ。
 
 これは一度や二度ではない。
 だから、ワイシャツの匂いが違った時点で予測できた。
 新婚の頃も同じように名刺が出てきて……。
 
 孝介に詰め寄ったら
「男は付き合いで行かなきゃいけない時があるんだよ。理解しろよ」
 そう怒鳴られた。

 今更驚かないけど、こんなに頻繁に行くんだ。
 何万円もするお酒を飲んで、綺麗な女の子と楽しくお話をして、チヤホヤされて……。
 気分転換って言うのかな。羨ましいよ。
 私だってたまには外食くらいしたい。
 
 孝介と結婚してから、理想の妻になるべくいろんなことを制限された。
 
 五枚ほどあったキャバクラの名刺を握りつぶし、ゴミ箱へ捨てた。
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