野いちご源氏物語 二三 初音(はつね)
元旦(がんたん)の空は、雲ひとつないのどかな様子だった。
ふつうの家の庭でも、<いよいよ春だ>と草や木の芽が動き出す。
自然と住人の心ものびのびしていくように思われる。
まして六条(ろくじょう)(いん)は、お庭をはじめとして見どころが多い。
それぞれの御殿(ごてん)でお正月の支度(したく)をなさった華やかさは、もう言葉では伝えられないくらいよ。
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