甘い生活を夢見る私は、甘くない彼に甘やかされる
LIFE.3
居酒屋に入って既に一時間。
約三十分でカオスな状況になった場で、今、私の両端は、男性社員が陣取っている。
「津雲田さんて、家大っきいんだ?」
「実家って、去年、いろいろニュースになったトコだよね?」
野次馬根性を隠すでもなく、人のプライベートにズカズカと踏み込んで来られるのは――慣れているとはいえ、胸の中のモヤモヤは、大きくなるばかり。
入れ替わり立ち替わり、男女問わず、同じような質問、同じような文言。
けれど、私は、ニコニコと笑みを張りつけながら、何とかやり過ごす。
ココで場を乱したら、せっかく誘ってくれた池之島さんの顔をつぶしてしまう――そう思ったら、当たり障りの無い返しを、延々と続けるしか無かった。
そして、ようやくお開きの時間が近づいてきた頃、私は、メイクを直すため、立ち上がる。
「あれー?津雲田さん、ドコ行くのー?」
「ち、ちょっと、お手洗いに……」
隣の男性社員に絡まれるのを、どうにか避けると、私はそっと襖を開け、廊下に出る。
そして、お手洗いに向かおうとすると――不意に聞こえた、聞き覚えのある声。
池之島さんと、男性社員の誰かが話しているようだった。
「ちゃんと、連れてきたんだから、文句無いでしょ?」
「だから、後は、津雲田と抜けられるようにしろって」
「嫌よ。そんなの、自分で誘えば良いじゃない」
「池之島が言えば、嫌でもOKするだろー?」
通路の隅で交わされる小声の会話が聞き取れてしまうのは、私の名前が聞こえたからだ。
「もう、いい加減にしてよ。大体、あたしは、日水主任に来てもらいたかったのに」
「お前、主任狙いだもんなー」
「うるさいわね。――だから、アンタは、あのお嬢様の相手してよ。主任、いつまでもあの女にべったりで、いい加減イラついてんの」
その会話の内容は――私の身体を縛り付ける。
――ああ、そういう事かぁ……。
こんなの、今に始まった事じゃない。
――そうは思っても――少しだけ、うれしかったのに。
やっぱり、私は――受け入れられる事は無いんだな。
にじみ出て来る涙を、どうにか拭き取ると、私は、素知らぬ顔をして、その場から離れた。
約三十分でカオスな状況になった場で、今、私の両端は、男性社員が陣取っている。
「津雲田さんて、家大っきいんだ?」
「実家って、去年、いろいろニュースになったトコだよね?」
野次馬根性を隠すでもなく、人のプライベートにズカズカと踏み込んで来られるのは――慣れているとはいえ、胸の中のモヤモヤは、大きくなるばかり。
入れ替わり立ち替わり、男女問わず、同じような質問、同じような文言。
けれど、私は、ニコニコと笑みを張りつけながら、何とかやり過ごす。
ココで場を乱したら、せっかく誘ってくれた池之島さんの顔をつぶしてしまう――そう思ったら、当たり障りの無い返しを、延々と続けるしか無かった。
そして、ようやくお開きの時間が近づいてきた頃、私は、メイクを直すため、立ち上がる。
「あれー?津雲田さん、ドコ行くのー?」
「ち、ちょっと、お手洗いに……」
隣の男性社員に絡まれるのを、どうにか避けると、私はそっと襖を開け、廊下に出る。
そして、お手洗いに向かおうとすると――不意に聞こえた、聞き覚えのある声。
池之島さんと、男性社員の誰かが話しているようだった。
「ちゃんと、連れてきたんだから、文句無いでしょ?」
「だから、後は、津雲田と抜けられるようにしろって」
「嫌よ。そんなの、自分で誘えば良いじゃない」
「池之島が言えば、嫌でもOKするだろー?」
通路の隅で交わされる小声の会話が聞き取れてしまうのは、私の名前が聞こえたからだ。
「もう、いい加減にしてよ。大体、あたしは、日水主任に来てもらいたかったのに」
「お前、主任狙いだもんなー」
「うるさいわね。――だから、アンタは、あのお嬢様の相手してよ。主任、いつまでもあの女にべったりで、いい加減イラついてんの」
その会話の内容は――私の身体を縛り付ける。
――ああ、そういう事かぁ……。
こんなの、今に始まった事じゃない。
――そうは思っても――少しだけ、うれしかったのに。
やっぱり、私は――受け入れられる事は無いんだな。
にじみ出て来る涙を、どうにか拭き取ると、私は、素知らぬ顔をして、その場から離れた。