甘い生活を夢見る私は、甘くない彼に甘やかされる
瞬間、私の目から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
「お、おい、月見?」
「――……お……遅いっ……!!!」
そう言って、力任せに、美善さんの分厚い腹筋を叩き――叩いた私の手の方が痛かったけれど――次には自分から抱き着いた。
「――……や、やっぱり、嫌になった、とかっ……思ったじゃないっ……!」
「何でだよ。行くって言っただろ」
「でも……遅くなるなら、なるで、連絡くらい……」
そう返すと、彼は、言葉に詰まった。
それを不思議に思い顔を上げると、気のせいか――何だか、顎の辺りが赤い気がする。
「……美善さん?」
「――あー……っと……」
彼が、気まずそうに視線をさまよわせている間も、私はジッと見つめる。
「……お、怒るなよ?」
「……何で?」
「――……以前から聞いてただろ、ひったくりってヤツ」
「うん」
「――……たまたま遭遇して、だな……捕まえちまったんだ」
「……は???」
私の目は点。一気に涙は止まり、頭の中は、ハテナマークだらけだ。
美善さんは、苦笑いで私を離すと、辺りを見回し、部屋の中に入ってきた。
そして、鍵をかけると、力の限りに私を抱き締める。
「――……悪ぃな、今まで、病院だの、警察だの、あちこち行ってたんだよ」
「え、び、病院?」
驚いて美善さんを見やれば、先ほどの顎だの、頬だのに、擦り傷のようなものが見えた。
「だ、大丈夫なの?」
「ああ。ちょっと、捕まえる時に抵抗されてな――まあ、かすっただけだ」
「……っ……」
何てコト無いように言うけれど、それでも、ケガはケガだ。
――そして、それは――万が一というコトだって――……。
そう思った瞬間、ボロボロと止まっていた涙が、再びこぼれた。
「おい、月見、平気だって」
「平気じゃないっ!!!――しっ……死んじゃったらっ……どう、する気、だったのっ……!!!」
私は、その場で泣き崩れる。
――人の命なんて、あっけなく消え去るもの。
それは――両親の事故で、嫌というほどに実感している私だから、余計、怖かった。
――もし、美善さんまで、死んじゃったら――……。
そう思ったら、子供のように泣き叫ぶ。
「み、美善さんの、バカァ……!!!」
「――月見」
「もう、嫌なのに――!!……大事な人が死んじゃうのは、もうっ……」
――嫌なのに。
そう言おうとしたけれど、美善さんの唇で止められた。
「――……悪い」
「……バカー……」
「……ああ。――……そうだな……」
彼は、私が泣き止むまで、ずっと、優しく抱き締め、頬やおでこ、そして、唇に、何度も何度も、キスを落とした。
「お、おい、月見?」
「――……お……遅いっ……!!!」
そう言って、力任せに、美善さんの分厚い腹筋を叩き――叩いた私の手の方が痛かったけれど――次には自分から抱き着いた。
「――……や、やっぱり、嫌になった、とかっ……思ったじゃないっ……!」
「何でだよ。行くって言っただろ」
「でも……遅くなるなら、なるで、連絡くらい……」
そう返すと、彼は、言葉に詰まった。
それを不思議に思い顔を上げると、気のせいか――何だか、顎の辺りが赤い気がする。
「……美善さん?」
「――あー……っと……」
彼が、気まずそうに視線をさまよわせている間も、私はジッと見つめる。
「……お、怒るなよ?」
「……何で?」
「――……以前から聞いてただろ、ひったくりってヤツ」
「うん」
「――……たまたま遭遇して、だな……捕まえちまったんだ」
「……は???」
私の目は点。一気に涙は止まり、頭の中は、ハテナマークだらけだ。
美善さんは、苦笑いで私を離すと、辺りを見回し、部屋の中に入ってきた。
そして、鍵をかけると、力の限りに私を抱き締める。
「――……悪ぃな、今まで、病院だの、警察だの、あちこち行ってたんだよ」
「え、び、病院?」
驚いて美善さんを見やれば、先ほどの顎だの、頬だのに、擦り傷のようなものが見えた。
「だ、大丈夫なの?」
「ああ。ちょっと、捕まえる時に抵抗されてな――まあ、かすっただけだ」
「……っ……」
何てコト無いように言うけれど、それでも、ケガはケガだ。
――そして、それは――万が一というコトだって――……。
そう思った瞬間、ボロボロと止まっていた涙が、再びこぼれた。
「おい、月見、平気だって」
「平気じゃないっ!!!――しっ……死んじゃったらっ……どう、する気、だったのっ……!!!」
私は、その場で泣き崩れる。
――人の命なんて、あっけなく消え去るもの。
それは――両親の事故で、嫌というほどに実感している私だから、余計、怖かった。
――もし、美善さんまで、死んじゃったら――……。
そう思ったら、子供のように泣き叫ぶ。
「み、美善さんの、バカァ……!!!」
「――月見」
「もう、嫌なのに――!!……大事な人が死んじゃうのは、もうっ……」
――嫌なのに。
そう言おうとしたけれど、美善さんの唇で止められた。
「――……悪い」
「……バカー……」
「……ああ。――……そうだな……」
彼は、私が泣き止むまで、ずっと、優しく抱き締め、頬やおでこ、そして、唇に、何度も何度も、キスを落とした。