甘い生活を夢見る私は、甘くない彼に甘やかされる
LIFE.6
 何だかんだ言い合いながらも、一通り収納グッズを購入した私達は、少し遅い昼食をショッピングモールのフードコートで取る。

「津雲田、何が良い」

「――えっとぉ……」

 この辺では最大のモールとあってか、入っている店もかなりの数。
 私は、キョロキョロと見渡し、悩む。

 ――どうしよう。あんまり、ガッツリしたものは、先輩の前では食べたくないな……。
 ――ていうか、よく、私、牛丼とか食べてたな⁉
 ――いや、でも、ヘンに取り繕うと、きっと先輩に気づかれちゃうし……。

 先輩への気持ちを自覚した途端、急に顔を出してきた”女の子”な自分に悶えてしまう。
 すると、視界一杯に、先輩のまあまあ端正な顔が現われ、完全に硬直状態。

「おい、津雲田。具合でも悪ぃのかよ」

「――っ……!」

 眉を寄せた先輩も、意外とカッコイイ――……なんて、前までは思わなかった事も、頭をよぎる。
「津雲田」
「い、いえっ……!……あ、あの、迷ってて……」
「――なら良いが」
「せ、先輩は、決まったんですか?」
「オレは、ラーメン」
 そう言って、少し先に見える、数人行列ができている店に視線を向けた。
「――え」
「あそこ、本店は行列店で、一時間待ちとかザラなんだよ。ここなら、少し待てば食える」
 何だか上機嫌に言われ、私は、ポカンと口を開けた。
「……ンだよ」
「……いえ……何か、詳しいですね……」
「んー、まあな。ガキの時に、いろいろ制限されてた反動みてぇなモン」
「……何それ」
 私が眉を寄せて返すと、先輩は、ごまかすように頭を叩いた。
「ホレ、決まってねぇなら、同じトコにするか」
 あっさりとラーメンを勧めてくる先輩に、私は、複雑な思いだ。

 ――仮にも、女の子と一緒にショッピングモールに来て、ラーメンって……。

 どうやったら、可愛く思われるかとか考えてた自分が、嫌になってしまう。

 ――……先輩にとっては――私は、ただの後輩、なんだろうな。

 ――……何も、取り繕う必要も無い存在。

 そう思うと、胸の奥がズキリと痛む。
「津雲田?」
 けれど、私は、顔を上げて無理矢理笑う。
「――いえ、じゃあ、私もそこで。お勧め、何ですか?」
「おう、そうだな――」
 私は、真剣に頭を悩ませている先輩を見上げると、視線を落とす。

 ――……恋愛対象になれないなら――勘違いするような事、しないでほしいのに……。

 けれど、この位置は、心地良過ぎて、手放す気にもなれないんだ――……。
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