甘い生活を夢見る私は、甘くない彼に甘やかされる
お昼休みになっても、先輩がやって来るコトは無く。
食堂の隅っこで、コンビニのサンドウィッチを取り出していると、平木くんがやって来た。
「大丈夫だった?」
「――平木くん」
私は、目の前に座った彼に視線を向けると、そのまま頭を下げた。
「ありがとうございました。――ホントに、助かりました」
「いや、そんな、かしこまらなくても――。まあ……何事も無くて良かった……のか?」
そう返され、少しだけバツが悪くなった。
私は、後頭部に手をやると、苦笑いする。
「……何事も――は、あったけど」
「え」
ギョッとした彼に、私は、少しだけ声を抑えて伝えた。
「……後ろ頭に、たんこぶできちゃった」
「は?」
「脚立から落ちちゃって……先輩が来てくれなかったら、誰か来るまで、気を失ってたかも」
そう報告すると、平木くんは、持っていたコンビニのおにぎりを取り落とす。
「お、おい、それ、結構な事案じゃ……」
「でも、これくらいで済んだし……」
「そういう問題じゃないだろ!」
急に声を荒らげ、彼は立ち上がった。
「ひ、平木、くん」
食堂の人達の視線が一斉に彼に向かっているのに、当の本人は、憤りを隠す事無く、私に言った。
「打ちどころが悪かったら、最悪、死んでただろ」
「そ、そんな、大げさな……」
私は、何とか彼をなだめようとするが、ボルテージは上がったままだ。
「今までだって、嫌がらせはあっただろうけど、今回は、さすがに――」
「”今まで”?」
キョトンとした私を見やり、平木くんは顔をしかめると、急に力が抜けたように、ストン、と、イスに座る。
「ひ、平木、くん……?あの……」
「――……津雲田さんさあ……もう少し、気をつけたら?」
「……は?」
苦虫を嚙み潰したような表情に――まるで、バカにされたように感じ、ムッとして返した。
「池之島、結構、あからさまに嫌がらせしてたじゃん」
「――……そんなの、わかる訳、無い……」
すると、平木くんは、あきれながら、おにぎりを持ち直し、パッケージを開ける。
「わかるようにならなきゃ。――次は、シャレにならないかもしれないじゃん」
彼なりの忠告なのだろうとは思うけれど――どこか、バカにされているような気がして、私は、無言で持っていたサンドウィッチを口に入れた。
お昼も終わり、会議室に資料を持って行くため、私は書類用の段ボール箱を一つ持ってきて、その中に二十人分の資料を入れた。
そして、それを抱え上げようとして――大きな手に奪われる。
それは、見覚えのあり過ぎる手。
その温もりすら、すぐに思い出せる。
私は、顔を上げた。
「――先輩……」
「お前には重すぎるだろ。――せめて、二箱に分けておけ」
「……平気です。……二度手間になるんで」
すると、少しだけイラついたように、大きく息を吐かれた。
「平気に見えねぇよ。貸せ」
「大丈夫ですってば!」
先輩が持ち上げた箱を奪い返そうとすると、ジロリ、と、視線で止められる。
私は、一瞬、固まってしまった。
「――また、労災にする気か。頻度が増えれば、故意だとみなされるぞ」
「な……」
――そんなの、不可抗力だったのに!
少し前まで、同じように言われていたはずなのに――胸が痛い。
先輩は、私を置き去りに、さっさと部屋を出て行く。
私は、我に返ると、すぐに後をついて行った。
食堂の隅っこで、コンビニのサンドウィッチを取り出していると、平木くんがやって来た。
「大丈夫だった?」
「――平木くん」
私は、目の前に座った彼に視線を向けると、そのまま頭を下げた。
「ありがとうございました。――ホントに、助かりました」
「いや、そんな、かしこまらなくても――。まあ……何事も無くて良かった……のか?」
そう返され、少しだけバツが悪くなった。
私は、後頭部に手をやると、苦笑いする。
「……何事も――は、あったけど」
「え」
ギョッとした彼に、私は、少しだけ声を抑えて伝えた。
「……後ろ頭に、たんこぶできちゃった」
「は?」
「脚立から落ちちゃって……先輩が来てくれなかったら、誰か来るまで、気を失ってたかも」
そう報告すると、平木くんは、持っていたコンビニのおにぎりを取り落とす。
「お、おい、それ、結構な事案じゃ……」
「でも、これくらいで済んだし……」
「そういう問題じゃないだろ!」
急に声を荒らげ、彼は立ち上がった。
「ひ、平木、くん」
食堂の人達の視線が一斉に彼に向かっているのに、当の本人は、憤りを隠す事無く、私に言った。
「打ちどころが悪かったら、最悪、死んでただろ」
「そ、そんな、大げさな……」
私は、何とか彼をなだめようとするが、ボルテージは上がったままだ。
「今までだって、嫌がらせはあっただろうけど、今回は、さすがに――」
「”今まで”?」
キョトンとした私を見やり、平木くんは顔をしかめると、急に力が抜けたように、ストン、と、イスに座る。
「ひ、平木、くん……?あの……」
「――……津雲田さんさあ……もう少し、気をつけたら?」
「……は?」
苦虫を嚙み潰したような表情に――まるで、バカにされたように感じ、ムッとして返した。
「池之島、結構、あからさまに嫌がらせしてたじゃん」
「――……そんなの、わかる訳、無い……」
すると、平木くんは、あきれながら、おにぎりを持ち直し、パッケージを開ける。
「わかるようにならなきゃ。――次は、シャレにならないかもしれないじゃん」
彼なりの忠告なのだろうとは思うけれど――どこか、バカにされているような気がして、私は、無言で持っていたサンドウィッチを口に入れた。
お昼も終わり、会議室に資料を持って行くため、私は書類用の段ボール箱を一つ持ってきて、その中に二十人分の資料を入れた。
そして、それを抱え上げようとして――大きな手に奪われる。
それは、見覚えのあり過ぎる手。
その温もりすら、すぐに思い出せる。
私は、顔を上げた。
「――先輩……」
「お前には重すぎるだろ。――せめて、二箱に分けておけ」
「……平気です。……二度手間になるんで」
すると、少しだけイラついたように、大きく息を吐かれた。
「平気に見えねぇよ。貸せ」
「大丈夫ですってば!」
先輩が持ち上げた箱を奪い返そうとすると、ジロリ、と、視線で止められる。
私は、一瞬、固まってしまった。
「――また、労災にする気か。頻度が増えれば、故意だとみなされるぞ」
「な……」
――そんなの、不可抗力だったのに!
少し前まで、同じように言われていたはずなのに――胸が痛い。
先輩は、私を置き去りに、さっさと部屋を出て行く。
私は、我に返ると、すぐに後をついて行った。