甘い生活を夢見る私は、甘くない彼に甘やかされる
LIFE.22
翌、月曜日。
昨日の今日で、私は、恐る恐る、総務部のドアを開けて顔を出した。
――あ、もう、仕事してる。
美善さんは、既に、自分の席でパソコンと睨み合っていて、私のコトなど視界にも入っていないようだった。
それに、一瞬だけホッとしてしまうが、すぐに首を振る。
――怒ってる――……かな……。
結局、昨日は、あれから彼からの連絡は無く、一日、服を片づけて終わった。
それを伝えたいと思ったけれど、自分から電話もメッセージもできず。
でも、謝るのも何だか違う気がした。
――もし、広神さんが言うコトが、普通だったら――美善さんは、私のコト、彼女だと思ってないってコトになってしまう。
そんなんじゃないって、思ってるし――わかってるつもりなのに、どうしても、不安になってしまって、イラついてしまうんだ。
「おはよう、津雲田」
「――お、おはよう……ございます……」
すると、席に着こうとする私に、美善さんから挨拶をしてきた。
かろうじて、視線を外しながら頭を下げて返すと、彼は、それ以上は何も言わず、再び視線をパソコンに落とした。
それが――何だか悲しくて、でも、仕事なんだから、と、自分を納得させる。
「おはよう、津雲田さん」
「お、おはよう、池之島さん……」
パソコンの電源を入れていると、隣の池之島さんから声がかけられ、私は顔を上げて挨拶を返す。
「新しいタスク来てるから、さっさと確認してよね」
「あ、う、うん」
「グループ作業だから」
「え」
「アタシと、アンタと、あと二人。足引っ張んないでよね」
「――う、うん……」
言葉はキツイけれど、態度は、以前ほどトゲトゲしくない。
私は、彼女の言う通りに、パソコンのタスクリストを確認する。
総務部内の仕事は、割と多岐に渡っているので、美善さんが割り振りして、スケジュールに一覧として上げているのだ。
私は、それを確認して――首をひねる。
――池之島、津雲田、嘉山、内沼――資料庫内の旧い資料をすべてデータ化。
過去二十年分、終了まで。
「……あ、あの、池之島さん……コレって……」
恐る恐る彼女を見やると、あきれたように言われた。
「……アンタのせいよ」
「え」
「アンタが脚立から落っこちたせいで、あの資料庫をどうにかしろ、ってお達しが来たんですって、社長から」
「――え」
私は、一瞬で青くなる。
――あの時のせいで?
――こんな、気が遠くなるような仕事ができちゃったってコト?!
「紙の必要が無いヤツは、全部データ化。外注できないようなモノもあるから、こっちでやるしかないんですって」
ため息交じりに言われ、私は、視線を下げる。
「……ご、ごめんなさい……」
「別に。――あの資料の山は、いい加減、探すの面倒だし。良い機会なんじゃないの」
本当にそう思っているのかはわからないけれど、彼女の言葉に、少しだけ気が楽になった。
「でも、気が遠くなる作業なのは、覚悟しておいてよ」
けれど、そう続けられ――私は、思わず背筋を伸ばした。
昨日の今日で、私は、恐る恐る、総務部のドアを開けて顔を出した。
――あ、もう、仕事してる。
美善さんは、既に、自分の席でパソコンと睨み合っていて、私のコトなど視界にも入っていないようだった。
それに、一瞬だけホッとしてしまうが、すぐに首を振る。
――怒ってる――……かな……。
結局、昨日は、あれから彼からの連絡は無く、一日、服を片づけて終わった。
それを伝えたいと思ったけれど、自分から電話もメッセージもできず。
でも、謝るのも何だか違う気がした。
――もし、広神さんが言うコトが、普通だったら――美善さんは、私のコト、彼女だと思ってないってコトになってしまう。
そんなんじゃないって、思ってるし――わかってるつもりなのに、どうしても、不安になってしまって、イラついてしまうんだ。
「おはよう、津雲田」
「――お、おはよう……ございます……」
すると、席に着こうとする私に、美善さんから挨拶をしてきた。
かろうじて、視線を外しながら頭を下げて返すと、彼は、それ以上は何も言わず、再び視線をパソコンに落とした。
それが――何だか悲しくて、でも、仕事なんだから、と、自分を納得させる。
「おはよう、津雲田さん」
「お、おはよう、池之島さん……」
パソコンの電源を入れていると、隣の池之島さんから声がかけられ、私は顔を上げて挨拶を返す。
「新しいタスク来てるから、さっさと確認してよね」
「あ、う、うん」
「グループ作業だから」
「え」
「アタシと、アンタと、あと二人。足引っ張んないでよね」
「――う、うん……」
言葉はキツイけれど、態度は、以前ほどトゲトゲしくない。
私は、彼女の言う通りに、パソコンのタスクリストを確認する。
総務部内の仕事は、割と多岐に渡っているので、美善さんが割り振りして、スケジュールに一覧として上げているのだ。
私は、それを確認して――首をひねる。
――池之島、津雲田、嘉山、内沼――資料庫内の旧い資料をすべてデータ化。
過去二十年分、終了まで。
「……あ、あの、池之島さん……コレって……」
恐る恐る彼女を見やると、あきれたように言われた。
「……アンタのせいよ」
「え」
「アンタが脚立から落っこちたせいで、あの資料庫をどうにかしろ、ってお達しが来たんですって、社長から」
「――え」
私は、一瞬で青くなる。
――あの時のせいで?
――こんな、気が遠くなるような仕事ができちゃったってコト?!
「紙の必要が無いヤツは、全部データ化。外注できないようなモノもあるから、こっちでやるしかないんですって」
ため息交じりに言われ、私は、視線を下げる。
「……ご、ごめんなさい……」
「別に。――あの資料の山は、いい加減、探すの面倒だし。良い機会なんじゃないの」
本当にそう思っているのかはわからないけれど、彼女の言葉に、少しだけ気が楽になった。
「でも、気が遠くなる作業なのは、覚悟しておいてよ」
けれど、そう続けられ――私は、思わず背筋を伸ばした。