甘い生活を夢見る私は、甘くない彼に甘やかされる
一緒のグループになった、嘉山さんと内沼さんは、私たちの三コ上の――男性だった。
「じゃあ、ひとまず、振り分けから決めようか」
この中では一番上らしい、シンプルな眼鏡をかけた嘉山さんが、そう言って資料庫をサラリと見回す。
私達もつられて見やると、内沼さんが、げんなりとしながら言った。
彼は、この中で一番背が高い。
――美善さんよりは低いけれど、それでも、池之島さんよりも頭一つは高かった。
そして、嘉山さんも、同じくらいで――私の頭の上で、会話は進む。
「二人も、やり方は、日水主任のメールで確認済みだよね」
「ハイ」
「日程は、こっちで決めるっていうけど――まあ、予定は未定か」
「そうですね」
「……でもさぁ……マジで、コレを四人でやんのー?」
淡々とした会話の中、内沼さんは、少しだけふざけたような態度で言う。
場を和ませるつもりだったのだろうが――私には、グサリ、と、刺さった。
「……す、すみません……私のせいで……」
「あ、ああ、ゴメンゴメン。でも、いずれは、って話だったし」
「でも――」
「いや、キミ達が入る前――少なくとも、課長クラスの会議の議題に、いつも上がってたみたいだよ」
フォローするように嘉山さんに言われ、私は、ようやくうなづいた。
――でも、きっかけは、私なんだよね……。
そんなところでも、自分の肩書が影響しているような気がして、何だか申し訳なくなってしまう。
「まあ、今さら決まった事をグダグダ言ってもしょうがないし」
彼は、そう言って、バインダーを取り出すと、作業計画を作り始めた。
「――目、痛ったぁ……」
よろよろと目を押さえながら、エレベーターに乗り込む。
私は、先に出た三人にカギ管理を頼まれ、一番後に資料庫を出た。
カギをかけ、完全にかかっているのを確認している間に、三人はさっさと総務部へ戻って行ったようだ。
――まあ、気を遣うから、それでも構わないんだけど。
一日、書類とパソコンと睨み合っていたので、頭がガンガンしてきた。
エレベーターに乗ると、総務部に着くまで、壁によりかかる。
――でも、何だか、美善さんみたい。
彼も、いつもパソコンと睨み合っているから。
仕事の内容は違えど、そういう共通点が見つかると、何だかうれしくなってしまう。
――うん、頑張ろう。
――そして、美善さんに、頑張った、って、褒めてもらいたいな。
そんな風に思っていると、エレベーターが到着し、扉が開く。
「――あ」
「――おう」
すると、たった今思っていた彼が目の前に現われ、思わず硬直してしまった。
――何だか、恥ずかしい。
そんな思いで、視線を逸らしてしまう。
「――……お疲れ」
「あ、ハ、ハイ」
彼は、私の脇を通り過ぎ、エレベーターに乗り込むと、あっさりと扉を閉める。
――……あれ……?
いつもなら、どんなだ、とか、終わりか、とか――いろいろあるのに。
……もしかして、昨日の電話のせい?
何だか八つ当たりのように切ってしまったから――……。
私は、振り返ると、静かに動いている階数表示を見つめた。
――……怒ってる、かなぁ……。
美善さんがどう思っているかなんて、私にはわからない。
――けれど――聞くのも、何だか怖い気がした。
「じゃあ、ひとまず、振り分けから決めようか」
この中では一番上らしい、シンプルな眼鏡をかけた嘉山さんが、そう言って資料庫をサラリと見回す。
私達もつられて見やると、内沼さんが、げんなりとしながら言った。
彼は、この中で一番背が高い。
――美善さんよりは低いけれど、それでも、池之島さんよりも頭一つは高かった。
そして、嘉山さんも、同じくらいで――私の頭の上で、会話は進む。
「二人も、やり方は、日水主任のメールで確認済みだよね」
「ハイ」
「日程は、こっちで決めるっていうけど――まあ、予定は未定か」
「そうですね」
「……でもさぁ……マジで、コレを四人でやんのー?」
淡々とした会話の中、内沼さんは、少しだけふざけたような態度で言う。
場を和ませるつもりだったのだろうが――私には、グサリ、と、刺さった。
「……す、すみません……私のせいで……」
「あ、ああ、ゴメンゴメン。でも、いずれは、って話だったし」
「でも――」
「いや、キミ達が入る前――少なくとも、課長クラスの会議の議題に、いつも上がってたみたいだよ」
フォローするように嘉山さんに言われ、私は、ようやくうなづいた。
――でも、きっかけは、私なんだよね……。
そんなところでも、自分の肩書が影響しているような気がして、何だか申し訳なくなってしまう。
「まあ、今さら決まった事をグダグダ言ってもしょうがないし」
彼は、そう言って、バインダーを取り出すと、作業計画を作り始めた。
「――目、痛ったぁ……」
よろよろと目を押さえながら、エレベーターに乗り込む。
私は、先に出た三人にカギ管理を頼まれ、一番後に資料庫を出た。
カギをかけ、完全にかかっているのを確認している間に、三人はさっさと総務部へ戻って行ったようだ。
――まあ、気を遣うから、それでも構わないんだけど。
一日、書類とパソコンと睨み合っていたので、頭がガンガンしてきた。
エレベーターに乗ると、総務部に着くまで、壁によりかかる。
――でも、何だか、美善さんみたい。
彼も、いつもパソコンと睨み合っているから。
仕事の内容は違えど、そういう共通点が見つかると、何だかうれしくなってしまう。
――うん、頑張ろう。
――そして、美善さんに、頑張った、って、褒めてもらいたいな。
そんな風に思っていると、エレベーターが到着し、扉が開く。
「――あ」
「――おう」
すると、たった今思っていた彼が目の前に現われ、思わず硬直してしまった。
――何だか、恥ずかしい。
そんな思いで、視線を逸らしてしまう。
「――……お疲れ」
「あ、ハ、ハイ」
彼は、私の脇を通り過ぎ、エレベーターに乗り込むと、あっさりと扉を閉める。
――……あれ……?
いつもなら、どんなだ、とか、終わりか、とか――いろいろあるのに。
……もしかして、昨日の電話のせい?
何だか八つ当たりのように切ってしまったから――……。
私は、振り返ると、静かに動いている階数表示を見つめた。
――……怒ってる、かなぁ……。
美善さんがどう思っているかなんて、私にはわからない。
――けれど――聞くのも、何だか怖い気がした。