きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
「どうしたの? なにがあった?」
「えっと、AIイルカが来ました。おそらくは救助機能が作動したかと」
 来たのはただ一頭、サンゴのみ。
 船に向かって「助けて」と叫んだとき、みんなより遅れていたサンゴにだけ声が届いたのだろう。そうしてかおるを助けるために戻って来て、発見してくれたのだ。

「それならしっかりイルカにつかまって。海上保安庁に連絡して救助を向かわせる。その端末のGPSを拾ってもらうから電源はつけたままでね」
「はい」
 かおるは必死にヒレに掴まった。

 来たのはAIのイルカだが、それでも充分に心強い。
 ほっとした直後、ふと閃く。

「北斗さん、サンゴなら深海まで行けますから……」
「イルカにアルトを拾わせるなんてダメだよ、命を優先して。今の君の座標は記録した。あとで深海対応の水中ドローンで回収するとか、方法はあるんだ」
 察した北斗が答える。

「でも……」
 一刻も早くアルトを助けたい。
 彼は今、どれほど心細いだろう。
 大人の自分ですら、海に放り出されて恐怖と絶望を感じた。アルトはもっと恐ろしいに違いない。
 それに、もし救助に手間取って端末の電池が切れたら……。

 かおるはイルカに話しかける。
「お願いがあるんだけど」
 イルカは耳を傾ける仕草をみせた。
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