きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
 イルカが泳ぐ最速は狩りのときに出す時速45キロほどで、これは漁船より早い。だが、普段は時速15キロ。AIイルカも同様に設計されている。
 単純に時速15キロで計算したら300メートルを泳ぐのに72秒。波の影響もなにも計算に入ってないが、もうすでに海底には到達してアルトを探しているだろう。

 遅いのはまだ探しているからか、故障したからか。
 ああ、早く無事に見つかって。
 かおるはただただ祈る。

 しばらくのち、サンゴが戻ってきた。野生のイルカも一緒だった。
 サンゴは口になにもくわえていなかった。

「ダメか……」
 呟いてから、思い直す。基本的にAIは指示通りにしか動けない。もっと広範囲を調べるように言えば、あるいは。

「コード5171。さっきより広い範囲の海底を探して来て。もう一度お願い」
 イルカはさっと潜った。
 見送ってから、不安がよぎる。
 本当に探してくれているだろうか。イルカに近く作ってあるのが災いして、野生のイルカと遊んでいないだろうか。

 戻って来たイルカは、またしてもアルトを連れてこなかった。
「コード5171。お願い、もう一度探して。見つけたらアルトを……端末をくわえてもってきてほしいの」

 イルカは願いに応えるように、再度潜る。
 野生のイルカもまた、楽しい遊びにつきあうかのように潜っていった。
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