きらきらしてきれいだった【アルトレコード】
 心配して近付くと、四角の板を拾ってほしい、と妙なことを言われた。
 そろそろ息が苦しい。浮上しようとしたとき、サンゴがまったく動かなくなった。
 慌ててサンゴを押し上げて海上に出る。
 先ほどまでサンゴに庇われていた存在が、慌てて近寄って来る。

「——!」
 なにかをしゃべったようだ。だが、イルカである彼女にはなにを言っているのかわからない。

 そんなことより。
 呼吸をしたのち、彼女は潜水を開始した。
 サンゴのお願いを聞いてあげたら、今度はちゃんと遊んでくれるだろうか。

 彼女は潜る。
 深く、深く。

 水の中は徐々に暗くなり、闇が濃くなる。
 魚たちは色をなくし、あるいは闇に溶けるように、あるいは疑似餌を発光させて、餌となる小魚を待ち受ける。

 ふと、誰かの声が聞こえた気がした。
 遠く、波に紛れるような微かな声。
 気のせいだろうか。
 いや、あれがサンゴの言っていた存在だろうか。

 うろうろしていると、また声が聞こえた。
 助けを求め、自分はここにいる、と訴えかけて来ていた。

 どこだろう。
 探すうち、ほんのりと明かりがともるのが見えた。
 またどこかの深海魚の疑似餌か。
 見ているうちに、また助けを求める声が聞こえた。
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